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十五話め

昼は翔来と二人で食べる約束をしている。俺の家族も翔来の家族も種目だけ見にくるから、次ここに現れるのは100メートル走が行われる午後二時くらい。 椅子の下に置いていたスクールバッグの砂を払い、実行委員のとこまで向かう。 近くまで来ると翔来の声が聞こえた。 「…午後は気温が上がるから見回り班は体調が優れなさそうな生徒を見つけたら声をかけて、必要があれば保健室まで同行するように」 指示を出して先輩の顔をしてる翔来に感動する。午前の注意と午後へのアドバイスを簡潔に話してて、かっこいいだけでなく仕事もちゃんと出来て憧れる…。 実行委員会のテントから一番近い木陰で待っていると翔来の「解散」という声が聞こえた。実行委員がばらばらと立ち去る中ひとりの生徒が翔来に声をかけた。内容はよく聞こえないけどその生徒に何かを教えてるみたいだ。 (まじで頼れる先輩って感じだ…) その生徒が笑顔で頭を下げ、いなくなったところで、そーっと近づいた。 「翔来」 背中をぽんと叩くと、びっくりした顔をして翔来が振り向いた。そして俺を見て、すぐに目尻が下がった。 ……それずるくね…、さっきまであんなに凛々しかったじゃん……俺、俺にだけそんな顔…… また女子達の声が蘇ってきたので慌てて振り払って、飯に行こうと伝えた。 翔来もスクールバッグを持つと、良い場所があるらしく翔来に言われるがままそこに足を向けた。 お昼はそれぞれが好きな場所で食べて良いので、普段はほとんど使われてない中庭まで人が溜まっている。 翔来が案内してくれたのは、屋上手前の踊り場だった。少しひんやりしてて火照った体にはちょうど良い。 「誰もいないじゃん」 「ああ、ここなんて基本誰も近づかないしな」 「確かに。翔来さんきゅ」 笑顔を向けると翔来も笑い返してくれて、気分がぽかぽかする。

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