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二十話め
無言のまま歩く帰り道。全然気まずくなんてないんだけど、俺の心が問題。もう、翔来いつ話してくれるんだよって暴れたい。心臓バクバクうるさいし、もう今度こそ手汗すごいんだけど…!真夏ですかと聞きたくなるほど汗をかいて、汗臭い気がする。翔来は何も臭くないけどっ、何ならいい匂いだけどっ。
「稜?ついたぞ」
頭がうわ〜となってると翔来に引っ張られた。あ、もうウチ着いちゃった……え?翔来、話は?え?
きょとんとして翔来を見つめると俺の言いたいことが伝わったのか、にっこり笑って俺を抱きしめてくる。
「あう…っ」
はあ!?なに俺!あうって何、あ゛〜〜恥ずかしい…
「りょーお?」
ひぇ…何その声…っ、過去イチで甘ったるいんですけど…!!
俺は返事を返すことも出来ず、落ち着ける為に息を吐いた。
「後でまた迎えくるから、…風呂入って準備しとけよ?」
「ひゃ、ひゃい…」
風呂!?じ、準備って…えっ!そんなっ、早くね…!?
あたふたする俺を見て笑った翔来がほっぺ、…正確には俺の唇のすぐ横……に、キスしてきた。
「じゃ、また後でな」
頭、沸騰した…、俺、湯気出てると思う……
俺はふらふらと家に入ると玄関に座り込んだ。
(こ、ここまで来たら、そういうこと、だよな?翔来、俺の事す、、すきって、それで、俺もすきだから、両想いってやつで、えーっと…)
めくるめく翔来との甘い日々に期待を募らせ、速攻で風呂に入った。…仕方ないけど、ちょっと反応してた。
迎えに来た翔来は私服を着て、また一段とイケメンが仕上がっている。
「すぐ行ける?」
そっそりゃもうっ!風呂出てすぐ泊まりの準備したわ!
心の中は大暴れだけど、何かバレたくなくて「おう」とそっぽを向いて答える。靴を履いていると母さんが出てきた。久しぶりに会う翔来に驚いて「ちゃんとイケメンになってる〜!」と意味わからないことを言ってた。
「もういいだろ、翔来行こ」
翔来の服を掴んで引っ張ると母さんに挨拶をし、俺のその手をまた恋人繋ぎにしてくる。明日帰ることを母さんに伝えて家を出た。
(……待った、手繋いでた)
暫く歩いてから気づく俺って馬鹿だと思う。つか翔来も家出てから繋げよ…!横目で睨むと「ん?」と微笑まれた。かっこいい…許す…。
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