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二十二話め

あはは、ひひ、と笑いが止まらない俺を翔来が突然抱きしめてきた。ビックリして声も出なくて、ぎゅっと閉じた目を開けると翔来越しに天井が見えた。 (え……?俺、…え?) 目をぱちぱちさせてると翔来がまた話し始めて、俺は驚きつつも耳を傾ける。 「そんでさ、隣の奴に話しかけてるお前見て、ぜってーこいつと仲良くなってやるって思った」 「えー…ますます意味わかんねえ頭してんな…」 押し倒されてるこの体勢が凄い恥ずかしくて、横に視線を逸らすと翔来の手首があって、ひゃあやばい…とただテンションが上がってしまった。 「ん、意味わかんねえ頭しててよかった。稜と仲良くなって、前の学校じゃしなかった遊びとか知ったし、お前といるおかげでいろんな奴と話せたし」 「…それは翔来が、かっ、かっこよかったし、積極的に話しかけたからじゃん」 「俺かっこよかったか?」 「うん、最初っからモテてたし」 転校生で物珍しいってのもあるだろうけど、やっぱ性格も良いから、全部ひっくるめてかっこよかったよ…。今はもっとかっこいいけど。 「お前にそう思ってもらえて嬉しい…、稜があん時そっぽ向いてなかったら、俺誰とも仲良くなれなかった」 「んなことねーって、絶対、他に親友できてたよ、…岡山とか?」 「あ〜〜、岡山良い奴だったし声かけやすかったけど、やっぱ親友は稜ひとりかな」 「……あっそ」 照れた、と頬を包まれる。 「俺はな、お前がいたからたくさんの友達ができた。前の学校よりもっと大好きになった。そんでお前は、……俺の初恋相手になった」 翔来の言葉が理解出来なくて、ただ時間だけが過ぎていく。 …たくさん友達出来て……前の学校よりも好きで…………初恋…?誰?俺…? あまりにも脳が追いつかず、翔来に目線を向ける。すると翔来は眉を下げて、困ったように笑った。 「稜、泣くなよ」 翔来の親指が流れる俺の涙を掬ってくれる。でもどんどん零れてきて、きっともう追いつかない。 「…それ何の涙?悲しい?」 俺は全力で頭を左右に振る。 「じゃあ、嬉しい?」 「んっ、…っう、うれしい゛〜〜…!」 両腕を翔来の首に回して引き寄せる。 「おれっ、俺すきぃ…、翔来だいすき〜〜」 うわああっと不細工に泣いて、翔来の首元に顔を埋める。体勢を低くしてくれた翔来が頭を撫でてくれて、今まで我慢してたものが、一気にぐわっと溢れ出てくる。 「翔来すき…?俺んこと好きなの?」 「ん〜大好き」 「ほんとに?ほんとに好き?俺と同じ好き?」 「俺の好きは、これからも稜といたいし、いろんなことしたいって感じだよ」 ちゅっと耳元にキスされて、ふわぁ…翔来やばい…とぐねぐねになってしまった。 「俺も〜!翔来といっぱいしたいことあるっ」 あっという間に涙も引いて、今度はずっとにやにやしてる。幸せの絶頂で、俺は箍が外れた。 翔来に回していた腕を緩め、ほっぺを挟んでみる。俺に負けず嬉しそうな顔をしてる翔来が可愛くて、少し体をずらして翔来の鼻とおでこにキスしてあげた。 「…稜めっちゃ可愛いな」 近くでそう言われて最高にキュンってなる。照れ笑いしてる翔来もかっこよくて可愛い。 こんな顔きっと俺しか知らないぞ。 翔来は起き上がって、俺の手を引っ張る。 「部屋行こ」

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