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二十三話め

翔来は部屋に入るなり、いきなり服を脱いだ。 (さすがに早いぃ…!) 一人焦ってると、どうやらただ寝る格好に着替えただけで無駄に恥ずかしくなってくる。俺はもうこのまま寝られる状態。 (で、でももう寝るの?ぁ、寝るって、就寝の…) 誰も聞いてないのに勝手に心の中で解説する俺。 着替え終えた翔来は、また俺の手を取ってきた。引かれるまま翔来のベッドに二人で座る。 (ベッド…!翔来が使ってるベッドだ!) 変態みたいなことを思いながらベッドをぽんぽん叩く。翔来はそんな俺を見て少し笑って、後ろに回り込んできた。 お腹の前に翔来の手が来て、お尻のすぐ後ろに、ぴったりくっついた、……多分あれが…。 (ゆ、夢にまで見た翔来の、翔来…!) 触りたくて気を抜くと後ろに手を回してしまいそうで、両手にぎゅっと力を込める。 「稜」 「な、なに…」 首筋に翔来が唇を押し当ててきて、その生々しさに緊張が増した。 少し顔を後ろに向けると視界に入ってきた翔来が「夢みたいだ」と微笑んだ。 それが本当に嬉しそうで、俺も嬉しくなる。 「俺も…、翔来のことずっと好きだったから、」 ふと疑問に思い、いつ頃から俺のことを好きなのか聞いてみた。本人から聞くのめっちゃ恥ずかしいんだけど…! 「俺は…一年の時か、確か稜に『早く戻ってきて』ってお願いされたんだよな。誰かに呼び出された、とかそんな感じだと思うんだけど、そん時から見る目が変わった。稜がどんどん可愛く見えて、あ〜好きだって思った」 「…それ」 それって、あの、学校のマドンナ…… まじか…あの時、お願いして良かった…!過去の自分撫でたい!褒めたい!よくやった!! 翔来の指が耳に触れてきて、少しぴくぴくしてると、そこに翔来の唇がきて、わあっ!と普通に驚いてしまった。 「びっ、びっくりするだろ!」 「ふ、めっちゃ、跳ねてた」 翔来が笑ってくると恥ずかしくて、太ももをべしべし叩いた。 「そういうの可愛い」 後ろから抱きしめられて、耳元でそんなこと言われたらもう力なんて入らなくて、翔来に寄りかかった。

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