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二十八話め

普通の友達の距離感だけど、翔来が時々身を寄せてくるからその度に胸が高鳴る。前はもう期待させないでって悲しくなってたけど、翔来は俺の事が好きで近く来てるんだなって思うともう嬉しくて仕方ない。 「稜」って優しい声で呼んでくれて、手をそっと取られて指が絡められる。これは俺たちで、手を繋ぐことはオッケーにしようって決めたんだ。やっぱり緊張するし、手汗ももちろんかく。でもそれは翔来も一緒らしくて、 「いつもはかっこつけてるけど本当はドキドキしてるからな」 と教えてくれた。可愛いなあってますます好きが増える。 隣に座って手を繋ぐだけで胸がいっぱいで、にやけが止まらない。目が合うと自然と笑みが溢れて、翔来がキラキラ輝く。 (昨日よりイケメンになってる…) 翔来の成長が著しく、どれ程かっこよくなるのか凄く楽しみだ。…その反面、余計に女の子にモテちゃうから心配もあるけど。 「あ、そうだ、あのさ、この事クラスの女子に言ってもいい?」 「女子?」 「うん、…最近仲良くなって、その、俺のこと応援してくれてて、だから、両想いだよって報告したい……いい?」 俺はもうバレてるから良いけど翔来はそれは無理かもしれない。女子達は心が広くて優しかったから大丈夫だったけど、同性愛とかに批判的な人もいるから、身近の人に伝わるのは嫌かも…。俺は心配で不安で、翔来から目を逸らして返事を待つ。 「いいよ、なんなら学校中に言ったっていい」 ん〜、と少しだけ考えた翔来が笑顔でそう言ってくれた。思わず聞き返すと「俺が稜のこと好きなの、俺の家族知ってるから」とサラッと告白された。 「知ってんの!?」 「うん、気になり始めた時に、『俺、これから稜のこと絶対好きになるわ〜』つったら『稜なら良いよ』って。だから俺も家族に両想いってこと伝えようと思ってたし、」 思わぬ暴露に俺は驚きを隠せない。 (…翔来の家族公認、ってことだよな) それが凄く嬉しくて、視界が煌めく。 「あ、ありがと……、女子に、言うね……あと、俺も、家族に言う…」 「言ってくれんの?」 「ん、俺の家族、翔来のこと好きだから大丈夫だろうけどっ」 泣きそうなのを堪えて明るい声で言うと、翔来に頭を撫でられた。 「高校生なったら、ちゃんと恋人として挨拶しなきゃな」 翔来が俺のほっぺに手を添えて、反対にはキスをしてきた。目に溜まってた涙が遂に落ちて、優しい目をした翔来が視界に入る。ずびずび不細工になりながら泣いて、何度も「ありがとう」と伝えた。

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