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独り占めにしたいって言ったのに、先輩に連れてこられたのは有名な神社だった。 周りは人がいっぱいで、2人でイチャイチャなんて出来ないし、より深い触れ合いを期待してたのでがっかりしたはした。 でも、2人でお参りの列に並んで、甘酒で暖をとって笑う先輩の顔を見てたら、まあいいかと思ってつられて笑う。 好きなひとと2人。 穏やかな年末。穏やかな年始。それもいい。 10秒前から周りの人たちが大型ビジョンを見て、カウントダウンを始める。 「5、4、3、2」 先輩が俺の首に手をかけて、引き寄せた。 唇が重なって。 「1」 ちゅ、と唇が離れる音がした。 「あけましておめでとうー!」 「今年もよろしくー!」 周りの声に年があけたのを知る。 先輩の目が悪戯っぽく笑う。 「ここのカウントダウン、大型ビジョンでカウントダウンするから誰も周り見てないんだ」 「もう一回」 「もう駄目だろ」 周りを見回した先輩は、さっきは自分から重ねた唇を指先で押し返す。 「あけましておめでとう、今年もよろしく」 「こちらこそ、あけましておめでとうございます、今年もどうぞ宜しくお願いします」

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