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2人で並んでお賽銭をいれて、二礼二拍手一拝する。
薄目でちらり、と先輩を見る。
何かすごく一生懸命お祈りしている。
ふ、可愛い。
俺も目を閉じて、先輩ともっといっしょにいられますように、と祈る。
それから2人でおみくじを引いて、お守りを受けて、門を出る。
さっきまで肩が触れるほど他人が近くにいたのに、人がまばらだ。
近所のひとは家に、遠方からのひとはまだ開いてる飲食店などに集まっていく。
先輩は俺の半歩前を迷いなく歩いている。
時刻は午前2時。
流石に電車も終わっていて、始発までは時間がかかる。
「先輩、これからどうするんですか」
繋がった指先を引いて尋ねると、先輩は楽しげにその手を頬に引き寄せて笑った。
「山本を独り占めする」
「は」
なにそれ。
なにそれ。
可愛いすぎだろ。
俺は先輩を後ろから抱き締めようとしたら、逃げられる。
「先輩……」
「あと少しだから」
あっち、と指されたのは海の方。
「海まで散歩?」
「そ、ロマンチックだろ」
先輩が歌うように言って、周りを見回して人がいないことを確認すると「ちょっと寒いな」と更に俺にくっつく。
そこで、海風が吹いて2人とも肩を竦めた。
「寒いから急ぐか」
先輩がそう言って俺の手を引いて小走りになる。
その先に海沿いのホテルがあった。
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