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先輩が示したホテルはどう考えてもこれからチェックインできる感じじゃない。
立ち止まった俺を先輩が不思議そうに振り返る。
「やーまもと、」
「はい」
「早く来いよ」
先輩がポケットから銀色のカードを振る。
シンプルなデザインに部屋番号がホログラムで浮かぶ。
「先輩、いつから準備してたの」
だって、急にこのホテルを予約するのは無理な筈だ。
大晦日の全室オーシャンビュー。
どう考えても人気だし。
「……秘密」
あ、嫌そうな顔した。
こういう時は恥ずかしかっている時だから。
ずっと前から準備してくれてたんだ。
「先輩」
俺は先輩の肩に手を回して、髪にキスをする。
「なに」
「次は俺が準備させて」
俺の言葉に先輩が顔をあげた。
その顎をとらえて、唇を重ねる。
ねぇ、先輩。
来年も俺に独り占めさせて。
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