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カウントダウン・セックス02

恵side 「ん?」と私は玄関にある白いスニーカーが目に入って、片眉をあげた。  玄関に誰の靴も置いてないはずだが? なぜ智紀の靴がここにあるんだ?  仕事がひと段落ついて、日本に戻ってきた。蛍のところにいる智紀を迎えに行っても良かったが、夜も遅いし、明日の朝に行けばいいと思っていたのだが。これはどういうことだろうか?  黒の革靴を脱いで、寝室に入った。羽毛布団の上で智紀がうつ伏せで寝ていた。ダブルのベッドに斜めで寝ている。  これでは私の寝場所がない。  もう一歩奥に寝室に入ったところで、足に何かが当たった。視線を落とせば、智紀の斜め掛け鞄が落ちている。その先にはジャンパーも。  酔って、無意識でこちらに帰ってきてそのまま寝たってところか。確か年末に、バイトの飲み会があると、莱耶から聞いている。それが今夜だったのだろう。 「智紀の監視役は何をやってんだ、全く」  私の胸ポケットの中に入っているスマホが震えだす。コートの中に手を入れて、スマホを出した。 『智紀が酔って、恵のマンションに帰ったらしい。これから蛍をマンションに行かせるから。一応、監視役にはマンションで張り込むように言ってある』  莱耶の声が耳に入ってきて、私はフッと口元を緩めて笑った。 「知ってる」 『はあ?』 「ベッドにダイブして爆睡してる」 『なんだ。日本にいんの? なら早く連絡してよ。こっちは大晦日なのに、休めたもんじゃない』  莱耶の不満声に、私は失笑する。  だいたい想像はできる。大所帯の屋敷にいるんだ。年末大晦日。男たちが静かに過ごすとは思えない。酒盛りで大騒ぎだろう。  静かに蛍と過ごしたいところを、邪魔されて不機嫌なのだろうな。 「智紀は大丈夫だ。仕事も。正月休みをやろう。三日までゆっくり休め」 『言われなくても』  私は肩をすくめて苦笑しながら、莱耶との電話を切った。スヤスヤと心地よいリズムで呼吸している智紀の背中を見て、「さて、どうしたものか」と呟いた。
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