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カウントダウン・セックス03
智紀side
トロっとしたものが、ケツにかかった気持ち悪さで、俺はうっすらと覚醒した。
「入れるぞ」という低い声が耳元でされてから、ぐっと穴の広がる感覚で飛び起きた。
「な……は? え? んああああ!」
俺は腰が浮いて、尻から何かを飲み込んだのがはっきりとわかった。なかば叫び声に近い甘い声があがった。
「起きたか?」
「へ? はあ? ……道元坂???」
「そうだ」
「ちょ。え?……ええ? なんで? 俺、なんでここに? てか、なんで繋がってんだよ!」
どうして道元坂のベッドにいるんだ? なんで道元坂がいるんだ? 俺の飲み会は? 中国出張は?
疑問が脳内に浮かぶものの、どれも声にならない。
俺の中に入った道元坂が、一定のリズムを刻んで動いている。そこから湧き上がってくる快感に、疑問も考え事も答えが出ないまま、どこかへ消えていく。
「どぅ……あ、や……ちょっと、待てって、ば」
道元坂の身体から、ボディソープの香りがしてくる。いつもオールバックにしている髪型も、いまはかすかに濡れて前髪がおりていた。
道元坂、風呂に入った? 俺、まだ入ってなくね?
え? てか、俺はどうしてここにいるんだ?
「風呂、俺も……」
入りたい、と言いたくて言葉にならなかった。道元坂がベッドに置いてある電子時計のライトをつけて、俺に見せてきたからだ。
「は? 時間? あと5分で……十二時、だろ。ああん」
だから何だよ。
「カウントダウン」
「は? 『カウントダウン』って? 見たいテレビでもあんの?」
「智紀、大晦日だ。このままカウントダウンしたい」
「……あ?」と俺は冷たく反応すると、道元坂の胸を押した。
道元坂が俺の両手首を掴むと、ベッドに押し付けた。これで俺は、道元坂に抵抗ができなくなった。
こいつは……何がしたい? あ、いや、まあセックスなんだろうけどな。したいことは。
そうじゃなくて。大晦日、このままカウントダウンしたいってなんだ?
あと五分で日付がかわる。
「はあ? もしかして来年になるその瞬間までエッチしたいってこと?」
酔って鈍くなっている思考力が一瞬だけ、キレッキレに冴えたような気がした。
「そういうこと。できれば、日付が変わる瞬間に、智紀の中に出したい」
「はあああ?」
このエロ魔人が。馬鹿だろ。
そんなタイミングよく、イケるかっての。
「智紀、おしゃべりは終わりだ。あと五分、集中させろ」
道元坂が俺にキスをして、抵抗する言葉さえも奪った。道元坂のリズムに合わせて、俺は腰を振った。
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