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カウントダウン・セックス04

 ベッドがギシギシと悲鳴をあげる。あと一分で……。と、ついつい時計を確認してしまう俺がいる。  いつもよりも激しく道元坂が腰を打ち付けてくる。こんな激しいセックスは久しぶりだ。道元坂の過去を俺が知ってからの道元坂は、セックスすらも感情を抑えていたように感じていたから。  大晦日のカウントダウンに合わせて、セックスをする。これはひょっとして、俺たちの仲が元に戻るための良いキッカケになるかもしれない。 「あ……はぁ、んん。道元坂……どうげ……きも、ち、いい。やばい、俺、イキそう」 「私もだ」  5、4、3、2……。  絶頂が身体の奥から襲ってくる。 「イチ、ぜろ」と道元坂が俺の耳元で囁いてきた。  俺は「ああ」と声をあげて、ビクビクと全身を痙攣させた。  ずるいだろ。イキそうになってから、耳元で囁いて、息を吹きかけるなんて。反則だ! 道元坂の動きも俺の最奥まで突き上げてから、止まった。  カウントダウンでセックス。 「2019年、智紀、おめでとう。今年もよろしく」 「あ……は、んぅ」と荒い呼吸の隙間を縫って、俺は頷いた。布団にぐったりと身体を預けると、繋がったままの道元坂が、満足そうに微笑んでいるのが目に入った。 「なんでここに俺がいんだよ。道元坂が連れてきたのか?」 「覚えてないのか?」 「ああ。飲み会に行って、二次会を経て、三次会はカラオケに行くって誰かが言っててさ。俺、カラオケに興味ねえからって断ってるところまでは、覚えてる」  フッと鼻で道元坂が笑ってから、俺の中から撤退した。ベッドに座って、俺に背中を向けた。  窓を少し開けてから、道元坂が引き出しから煙草を出した。 「さむっ」と俺はこぼすと、毛布と羽毛布団の中に身体を入れた。 「監視役の目を欺いて、こっちに帰ってきたとか」 「は? 欺いてねえと思うけど」  たぶん。きっと……。記憶にねえから、わからねえけど。  その前に、どいつが、道元坂が用意した監視役かわかんねえし。教えてくれねえから。 「莱耶が、蛍に迎えに行かせるとまで言ってたぞ」 「なんで蛍? 蛍も大学の飲みがあるって言ってたけど」 「だからだろ。気に入らないんだろ? 蛍が自分の傍にいないのが」 「……意味がわからねえんだけど?」  わからなくていい、と道元坂が呟いてから、煙草を咥えた。 「道元坂はしばらく、こっちに居れんの?」 「ん?」と道元坂が煙草を口にしたまま、スマホを開いて、何かを確認してから、「一週間の休みだったが……短くなりそうだ」 「出張か?」 「そうだな。悪い。日の出まで一緒に居られるかどうかも怪しい」  道元坂が、煙草の火を消すと立ち上がった。窓を閉めて、俺に寂しそうに微笑んでから、「先に休め」と言い、寝室を出ていった。ドアをきっちりと閉めて出ていったのを見て、俺に聞かれたくない電話をするのだろう、と察した。  また離れ離れな生活になるのか。道元坂がすごいヤツだから、仕方ないと言われればそれまでだけど。  やっぱもうちょっと一緒に居たかった。せめて朝まで。新年になったばかりの余韻を味わって、一緒に日の出を見たかったな。

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