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カウントダウン・セックス06

『監視役から連絡がありました。智紀が酔った状態で姿を消した、と。車、運転して』 「莱耶はどこに?」 「ここにいます」と背後で声がして、俺は振り返った。  莱耶が白いコートに、ジーパンを履いていた。スーツじゃないのは珍しい。一度、仕事を終えて家に帰った後に、出てきたのだろう。コートの下には、俺を撃ったサイレンサー付きの銃がしまってあるに違いない。  恋人同士になって、一緒に暮らしていても、銃で撃たれる生活からは逃れられないらしい。 「近くのコインパーキングに車は停めました。あとの運転は蛍に任せる」  莱耶はコートのポケットから車のキーを出して、俺に渡してきた。 「莱耶は?」 「ムカついて、呑んだから。運転できない」 「ムカつく?」  何にムカつくというのだろうか? 親父がなかなか帰って来ず、会社での莱耶の業務が忙しいから、ストレスでも溜まっているのだろうか?   俺は莱耶との約束を守って、酒を飲んでないから酒を飲むほどの、怒りを買ってるとは思えない。  智紀が姿を消した……から、飲むとは思えない。むしろ飲まずに、莱耶なら探し回るだろうし。  何がそんなに飲むほどのムカつきに至ったのだろうか? 「わからない?」  俺が不思議そうな顔をして首をかしげていたのが莱耶には気に入らなかったのだろう。綺麗な顔で、俺を睨み上げてきた。 「あ……うん」  ため息と同時に、莱耶に胸を思い切り押された。 「飲み屋で隣は誰だった? 両隣とも女子。しかも僕よりも年下で、冬なのに露出度のある服で。胸の谷間をしきりに見せて来てた。寄せてあげた胸を。蛍の後ろを通りながらその胸を蛍に押し付けてきて。スカートだって、こんなクソ寒いのに生足出してきて。蛍に見えるように何度も足を組み替えてきて。パンツが見えそうな女もいた」 「……はあ」と俺は、莱耶のすごい剣幕で怒る姿に圧倒されて間抜けな声が漏れた。 「僕が知らないと思って、随分といい想いをしてたよな?」 「え? どこが?」 「は?」 「確かに隣に座っていた先輩たちは寒そうな恰好してたみたいだけど。俺、興味ないよ? それより莱耶が私服なほうが、意外で萌えるんけど」  俺はぐっと距離を詰めると、莱耶の腰に手をまわした。

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