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カウントダウン・セックス07
莱耶side
「三日、休みがもらえた」と後部座席でぼそっとつぶやいた。運転席で、運転をしている蛍が「親父んちに行くのは無し?」と問いかけてきた。
「ええ。恵、戻ってきてる。智紀と一緒に過ごすみたい」
「そっか。んじゃ、俺らも帰るか」
「……帰りたくない」
僕は窓ガラスに、額をつけて本音をこぼした。蛍の家に戻ったら、騒がしくて嫌だ。とくに今夜は。静かに過ごしたい
。
うるさい家は好きじゃない。でも蛍と一緒に居たいから、あの屋敷にいるだけ。蛍にはその気持ちを隠しているけど、正直、キツい。
「なんでもない。家に帰ろう」
僕は足を組むと、瞼を閉じた。
あそこは蛍の家だ。帰りたくないなんて、言っちゃいけない。少し仕事がハードだったから、疲れているだけ。少し眠れば、気力も体力も回復して、いつも通りの僕に戻れるはず。
『は? 初詣? 行かないっすよ。今夜の飲み会に行けば、正月は好きに過ごしていいっていう約束でしたよね? だから俺、今夜だけっていう約束で参加したんすけど』
遠くのほうで蛍の声がした。僕は瞼を持ち上げると、見たことない部屋の間取りに驚いて、起き上がった。
ベッドに横になっている。あたたかい布団が、しっかりと肩までかかっていた。
え? どこ、ここ?
なんで、僕は……。そもそもどうして、気づかなかったんだ?
爆睡するなんて、僕らしくない。
『いくら先輩の命令だったとしても……はあ……』
ベランダの窓が少し開いている。ベランダには、寒そうにコートを着込んだまま、電話をしている蛍が立っていた。
僕がいる室内は暖かい。石油ストーブがついてる。僕はベッドにあるライトをつけると、窓の外で電話している蛍を見つめた。
『ごめん』と口だけが動く。
どうやら、大学の先輩に何か言われているようだ。説得されてるというべきかな。
完全覚醒の前に『初詣』という言葉が聞こえた。初詣に行くから、付き合えって誘われているのだろう。
蛍は恰好いい。見た目もスタイルも。性格だって、悪くない。それでいて、周りの女子にガツガツしてない。モテるのに、女子と遊ばない。彼女を作りたいであろう先輩から見れば、蛍は女子を誘うのに恰好の餌なのだろう。
電話、終わりにして欲しい。僕と二人の時間を過ごして欲しい。
どうしたら……蛍は先輩との電話を切ってくれるだろうか?
そんなことをに思考を使う僕に、心の中にいるもう一人の僕が「そんな電話も待てないの?」と突っ込んでいた。
前なら、待てた……かもしれない。いや、苛立ちながらも終わるのを待っていたはず。
今はすぐにでも切ってもらえるように考えてる。僕は、すっかり蛍に夢中なんだ。
僕は窓の近くまでいくってから、コンコンと窓をノックする。
ノックに気付いた蛍が、顔をあげて「なに?」という表情をした。
僕はにっこりと笑うと、着ていたコートを脱ぎ捨て、セーターも脱いだ。ジーパンも脱ぐと、ゆっくりと床の上に落とした。
パンツ一枚だけになってから、僕はベッドに戻って足を大きく開いて、ベッドに座る。蛍に股間が見えるように開いた。
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