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【0章】3

ただ、問題なのは断り方だ。高飛車で傲慢、冷徹に相手をはねつける。恨みを買うことは避けられない性格。 そこで俺の出番になる。腕っ節で解決するのなら早いものだ。自慢じゃないが凛生のために努力した俺は強い。元から運動神経はいいほうだが天性のものだけでは到底適わなかった。今じゃ趣味はロードワークに次いで総合格闘技全般だ。凛生の犬と裏で比喩されても痛くも痒くもない。番犬付きのご主人様も涼しい顔だ。 問題はもうひとつある。凛生の好みは従順そうな大人しい奴。懐柔する楽しみを得られそうで遊びという単語と全く正反対な厄介なのをわざわざ狙う。そんな奴が凛生に夢中になったら火を見るほど明確だ。そうなる頃には凛生は文字通り裏切る用意をする。 俺の出番にストーカー紛いの嫌がらせ、ネットでありえないような噂を流し、校内の掲示板へ握った弱味のリーク、ありとあらゆる姑息な手を使ってきた。腕っ節で対抗するわけにはいかない。俺がいきなり殴りつけでもすれば凛生の犬から凛生の男になってしまう。凛生の次の狩りに支障があってはいけない。俺は一切の姿も見せず裏で暗躍する。 凛生の手は綺麗なまま、相手が裸足で逃げていく算段だ。我ながらよくできた茶番だと思う。

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