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【1章】2

「さんじゅうきゅうばんめ」 ずっと黙っていた凛生が唐突に口を開いた。 さんじゅうきゅうばんめ。凛生の遊び相手だ。こうやって番号で呼ぶのは切る対象で、言及すると今は40番目とあたる相手と並行している。 「もういらないんだけど。俺と優の関係を勝手に喚いてたと思ったら何か嗅ぎ回ってる」 「嗅ぎ回ってる?」 「8番目と連絡とってた。あれは今普通に学校来てるから。どこで繋がったかわからないけど」 淡々と表情も変えず状況を伝える口ぶりに全く焦りは感じられなかった。学校に来ている有無が重要なのは理由がある。小中高一貫の体裁を十分に気にする私立学園では噂というものが学生生活の首を絞める。凛生の手を出した相手の大半は学校を去るか不登校になる。まあ金を積めば誰でも卒業できる、大したことではないだろう。しかし、8番目と聞いて苦虫を噛み潰したような表情が自然と出てくる。浮かぶのは二年前。

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