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【1章】4

案を画策したのは自分だが、伝えた瞬間に無表情でやれと言い放つ凛生には痺れた。至極、俺のことをわかっている。実際行為中は苦以外の何者でもなかったが、凛生のあの据えた瞳と短く切られた言葉が俺の中で反響している間に事が終わった。その後は、適当にあしらいながらネットや噂を多様して奴の評判を上げていく。人は単純なものでちょっと背中を押してやれば後は勝手に転がっていく。ファンクラブなるものができる頃には、自分はみんなのものだと言い残し消えていていった。単純だったのが救いか。 「あれは厄介だが本質は見抜けない。大丈夫だよ、凛生」 安心させようと笑いかけ凛生を見た。 瞬間、凛生の瞳が今日初めてこちらに向けられたことを知る。その色は咎めるような気配を含み、俺はまた暗い穴に足元をすくわれるような感覚に陥った。 「…優。俺、いつも言ってるよね。憶測で物を話さないで」

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