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【1章】5

「あ、ああ。ごめん。すまなかった、凛生。ちゃんと俺も探る」 低く深く静かに。凛生の声色が俺の脳天を震わせる。諸悪の根源は徹底的に潰す、そういう方針を俺が安易に捉えたことに凛生は怒っているのだ。それだけでも堪らないのに凛生は今、俺を頼っている。この喜びはいつも耐えがたい。凛生が織り成す鮮やかな世界に俺も確かに存在している。二人で一つだ。 嬉しさで破綻しそうな顔を隠すことが苦しい。絞り出した声は掠れていたが、動揺を気取られることもまた快感に繋がるほど凛生の言葉が愛しかった。 「それでいい」 短く言葉を切ると、凛生が前方を見つめる。ずっと凛生を眺めていたい衝動に駆られたが、仕方なく凛生の視線の先を見た。 ずいぶん離れた先に、同じ制服の男が見える。こちらに気付くと小走りに駆け寄るその男は一学年下で、控えめなフレームの眼鏡をかけ垂れ目が印象的な風貌をしている。 40番目だ。

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