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【1章】7

「大丈夫だよ、ありがとう。嬉しいな」 凛生が張り付けた笑みで声をかけてやれば、俯きながら顔を綻ばせ天パがかった黒髪が揺れる。背が高いため隠せてもいないが。 「こっちは僕と同じ学年の平井(ひらい)優くん」 「はじめまして。一年の橋見透(とおる)です。宜しくお願いします」 律儀に挨拶をする後輩をちらりと見やり視線を逸らす。 「俺のことは気にしなくていい」 「ごめんね。彼、人見知りなんだ」 不躾に放つ俺の言葉に凛生がフォローする。いつものやり取りだ。 前に凛生と橋見が歩き、少し離れて俺も着いていく。学園に近付くにつれ、登校する生徒が増えてきた。隣接する女学院の生徒もちらほら見える。側を通るたび、女生徒が凛生を見て密かに黄色い声をあげる。甲高い喋り声で隠せていると思っているのか。目障りだ。横目でやり過ごしつつ、考える。

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