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◇3話◇

※ ※ ※ その後、うろうろと辺りをさ迷い続けていた大和だったけれど―――運が良かったのか、はたまた付き人が痺れを切らして待ちきれなくなっていたのか無事に会う事が出来た。 そして、付き人に腕を引っ張られながら半ば強引に【神室屋】に連れて来られた時に、またしても新たな出会いがあった。 「なんやぁ……おめえら―――よう似とるけ、間違いそうになるやなあ」 大和と見た目が瓜二つな男童が【神室屋】の前に立っているのだ。おそらく、付き人が大和を探している時に一人で放って置かれたせいなのか、僅かに怯えているのが分かる。 唯一、端から見て違いがあるのは―――身に纏っている着物の色や豪華さだろうか。大和は見るからに所々がほつれている白の襤褸を纏っているが、大和と瓜二つの男童は大和よりかは豪華な淡紅色の着物を纏っている。 「まあ、それはそうと……おめえら―――これから近所同士の郭で働くやき、せいぜい仲良くしいやきな。え~と……大和、おめえは神室屋で―――陽砂(ようさ)、おめえは二軒隣にある逆ノ目郭だ。」 「ちょいと、ちょいと……付き人さん―――いいかえ?」 と、付き人が大和達にこれからの事を説明していた時―――奥から出てきた女の人に呼ばれ、大和達に「ちょいと待っとれよ」と言い残して姿を消してしまった。 大和と陽砂が店内で二人きりとなり気まずい雰囲気となって少したった頃、ふいに―――くい、くいと陽砂から着物の裾を引っ張られ大和は慌てて目線をそちらへと向けてしまう。 『ねえ、ねえ―――君、ここで働くの嫌?』 『ど、どうして……おらに、そんな事を聞くんだよ……えっと―――陽砂、だっけ?』 急に隣にいる陽砂から耳元で囁かれ、くすぐったに目を細めつつ―――彼に釣られるようにして、ひそひそ声で尋ね返した。 すると―――、 『あのさ、おいらと瓜二つな君にお願いがあるんだけど―――』 『お願い―――だって?』 『おいらの代わりに―――二軒隣にある逆ノ目郭で働いてくれないか?おいら、あそこはおっかない所だって聞いて……どうしても嫌なんだ』 ―――まさか、この陽砂の細やかな願いの申し出が己の運命を波乱に導くとは、この時の大和は夢にも思わないのだった。

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