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◇18話◇

「な、何故……何故___兄さまが此所に!?兄さまは……王宮の公務で遠く離れた《婀慈耶(あじや)》という国の王宮に奉公に行かれたと風の噂でお聞きになって……おらは――ずっと会えないとばかり……っ……」 「大和……郭で奉公してから暫く経っても__お前は世間知らずなのだな。公務とはいえ、定期的に暇はある。それに、俺はずっと……郭に売られて行っあお前の事を気にかけて捜していた__悪い兄である俺を許してくれ……俺はお前を昔から、ずっとこうしたいと思っていたんだ」 幼い頃からずっと共に過ごしてきた兄弟でこんな恋人同士が行うような卑猥な事をするのは駄目だ___と心では分かりきってはいるものの、兄の柔らかく整った形の唇で耳たぶを愛撫されると半開きとなった大和の口から、ひっきりなしに喘ぎ声が漏れてしまう。 「相変わらず大和は……顔に出やすいな。俺にこうされて__気持ち良いのが丸分かりだぞ。先程の客はお前を満足させてくれなかったのか?」 「____兄さま?」 急に声の調子が低くなり、愛撫を一旦止めた兄の様子に怪訝さを抱きながらも、大和は己の体をしっかりと抑えつけるようにして乗っかっていて眉間を寄せる兄の顔を真っ直ぐに見上げた。 (兄さまは途徹もなく怒っている__でも、いったい――どうして……) 幼い頃からずっと共に過ごしてきた兄の、初めて見る怒り顔を目の当たりにして大和は小刻みに体を震わせてしまう。しかし、その次の瞬間__兄の大きな両腕で頬を掴まれると、何も言う暇さえなく、紅で真っ赤になった無防備な唇を半ば強引に塞がれて深い口付けをされてしまうのだった。

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