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「ヒロくんてさ、なぁんか幸せをあきらめちゃってるところがあるじゃない?」
「そうかな?」
「そうよ。あなた、自分が誰かに愛されるのを許さないじゃない。一生一人で生きていきます、みたいな顔して」
痛いところをつかれ、ただ苦笑するしかない。
「でも子供ってさ、単純に『愛して!』『大好き!』って気持ちをぶつけてくる生き物じゃない?そういう無償の愛を持ってる人と一緒に生活することは、ヒロくんにいい影響となるんじゃないの?」
そうだろうか。たかが子供一人、家族に増えたところで何かが劇的に変わるとは思えない。
ただ夜遊びはセーブしなければとは思う。せっかく部長が残業の少ないポジションに広務をつけてくれたのだから。夜遊びと同じくらい仕事もセーブか。そう思ったらなんだかげんなりした。
「あー、やっぱ無理だったかな……」
自分が小五の時ってどんなだったっけ。意外と世の中のいろんなことがわかっていたように思う。まあ、こちらがちゃんと話したら聞き分けできるくらいの歳だろう。
季節はもう春になろうとしているのに、広務の頭の中はいろいろと悩ましいことばかりだった。
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