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第6話
蒼のお母さんに挨拶し、蒼と二人で部屋に入る。
いつもの定位置にそれぞれ座ると、単刀直入に切り出した。
「あお、最近体調とか感覚とか、うまく言えないんだけど、そういうのおかしくないか?」
いきなり言われて蒼も呆気に取られていた。
「突然どうしたの?」
「俺たちβって判定出たけど、最近の俺たちの様子って、βの特性じゃないような気がするんだ」
「ん、そうだね。確かに何か変だなぁとかうまくいかないなぁって思うこと増えたね」
「だから、再判定してもらわないか?これでまたβ判定ならそれでいいし、あの時の判定が誤判定だったら怖いだろ?」
「うん。でも個人で判定するのって結構お金高いんじゃない?」
「バイトする」
「じゃあ、僕も一緒にいちとバイトする」
「本当か?あおのご両親を説得するの難しいかもしれないけど一緒にバイトしてくれるのか?」
「もちろん。いちばかりに負担かけられないしね」
「ありがとう、あお」
蒼も承諾してくれたことで俺たちの方の話はまとまった。
あとは、蒼のご両親の説得だ。
蒼の過去のことを考えるとバイトさせてくれるとは思えない。
だけど、これはかなり大事なことだから、きっと説得させてみせる。
また週末訪問する旨、聞いてもらいたい話があるのでご両親が揃って家にいてほしい旨を蒼のお母さんに伝え、今日は帰宅した。
時が経つのは、本当に早い。
あっという間に週末である。
覚悟は当の昔に決まっている。
朝から蒼の家にお邪魔する。
大事な話なので、俺の両親にもついてきてもらった。
チャイムを押すと門扉が自動で開いた。
家に入ると、蒼の家族が揃って迎えてくれた。
朝早くから訪問させてもらったことへの謝罪とこの間俺たちが話し合って決めたことを搔い摘んで説明した。重い沈黙が続く。
沈黙を破ったのは、蒼のお母さんだった。
高一の夏休みあたりから薄々は気付いていたとのこと。
俺の母さんも、同じくらいの時期に気付いていたらしい。
やっぱり母って偉大なんだな。
再判定するにあたって、二人でバイトしたいので許可をもらいたい。
蒼と二人で頭を下げた。
再び訪れる重い沈黙。
『やりたいようにやりなさい』
許可がもらえたが、条件がついてきた。
蒼のお父さんの会社の雑務がバイト内容。
シフトは必ず二人一緒に組むこと。
バイト先からの往復も俺が蒼を送迎すること。
予想範囲内だ。
そもそも蒼から離れることなんてしたくなかった。
蒼のお父さんから提示された条件を受け入れることを伝えると、『蒼のことを、よろしく頼みます』とご両親揃って頭を下げられてしまった。
「ご期待に沿えるよう、がんばります」
蒼のご両親に挨拶を済ませ、帰宅する。
これから待ち受ける日々が楽しみで仕方なかった。
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