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第15話

side一縷 判定結果が出てから随分時が経った。 今日は体育祭。 毎年優勝クラスには豪華商品が用意されているため、各クラスすごい熱気だ。 そんなだから、毎年怪我人が絶えない。 学校も危険と判断して豪華商品の取り止めをしようとした時、生徒会が先導に立ち、全校生徒からクレームを出した。 『年に一度の体育祭。クラス全員が一致団結して優勝を目指す。それの何が悪いのだ』と。 悪いも何も、毎年あまりにガチンコでやり過ぎて怪我人続出、最悪な年は病院送りになる生徒もいる。 一度は豪華商品の取り止めまでしようとしたのに、なぜ復活したのか。 理事長からの鶴の一声だった。 『たまには友達ともガチンコでぶつかることも重要じゃないかい?』 ただの理事長の個人的見解なんだろうけど、理事長が言うなら…と校長もしぶしぶ納得してくれた。 というわけで、ガチンコバトルの体育祭で現在俺は救護所に詰めている。 別に怪我したわけじゃない。 保健委員で救護所当番だから。 救護所には俺を含めた保健委員全員が集合している。 もうすぐ体育祭一怪我人続出の騎馬戦が始まる。 クラスの応援もしないといけないが、騎馬戦には蒼が出場する。 「なんで蒼が出ないといけない。蒼みたいに優しい性格の奴が出る競技じゃないだろう」 出場する競技が決まったと、蒼と帰り道話してた時、俺はつい蒼に声を荒げてしまった。 「僕のクラスから出る人いなくてじゃんけんになって…負けちゃったんだよ」 「…大きい声出してごめんな。騎馬戦の時間だと救護所当番だから、救護所から応援してるな」 「見てもらえるか分かんないけど、やれるだけやるよ。がんばるね」 しゅんとした蒼の顔を見て、声を荒げたことを謝罪し、蒼ははにかみながら決意を語った。 そんなことを思い出しながら、蒼の姿を探す。 ちょうど忙しい時間が過ぎた時だったので、ゆっくり応援できそうだ。 始まった。 何とか蒼は敵の間をすり抜けながらはちまきを取っている。 3本目のはちまきを取って方向転換をした時、敵が蒼に迫っていた。 後ろから襲われて、騎馬が崩れ、蒼は地面に落ちた。 騎馬戦が終わって怪我した生徒が救護所に続々と押し寄せる。蒼もだ。 蒼は膝から出血していた。 土が付いていたので、蒼に付き添って、膝を水道で洗い流す。 水道の場所まで行く時、蒼の歩き方に違和感を感じた。 「足、痛いのか?」 「うん。擦りむいただけじゃなくて、軽くひねったみたい」 膝の土を洗い流した後、救護所に戻り、まず膝の手当をした。 その後、足首の様子を保健教諭に診てもらった。やっぱり捻挫だった。 騎馬戦の後の時間で俺も蒼も出場競技がなかったので、俺は蒼の世話を焼いた。 体育祭も終わり、帰宅するにも、蒼は歩くのさえも痛そうだった。 「今日ばかりは運転手さん呼んだ方がいいんじゃないか?」 捻挫は安静第一だ。無理に歩く必要はない。 「嫌。いちと一緒に帰りたい」 いつからか蒼は俺とやたら一緒にいたがった。 俺は大歓迎だが、今回は怪我しているんだし、無茶はしてほしくなかった。 だけど、蒼は俺と一緒に帰ることを頑なに譲ろうとしない。 俺が蒼に肩を貸して帰ることで落ち着いた。 ただし、本当に痛くてたまらなくなったら運転手さんを呼ぶことを条件にして。

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