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第27話

side一縷 蒼へプロポーズをして、3年。 この3年の間にゆっくりではあるが、俺たちなりに進んで来られたと思う。 プロポーズから半年後に蒼が日本に戻って来てくれた。 まずは、蒼の両親の元へ報告と結婚の許可をもらいに行った。 蒼に蒼の両親の都合を聞いて、アポイントを取り、蒼にプロポーズした時の勝負スーツに着替えて行った。 「いつも突然伺う形になってしまい、申し訳ありません。先日、蒼さんにプロポーズをして、承諾していただきました。つきましては、ご両親からも結婚するにあたり、私たちの結婚を許可していただきたいのです。蒼さんと結婚する許可をください」 「僕からも、一縷さんとずっと一緒にいたいです。結婚させてください」 二人で床に額をこすりつけるくらい頭を下げた。 『世間知らずで、我儘言いたい放題、やりたい放題な愚息ですが、よろしくお願いします』 蒼の両親から許可をもらえた。 次は俺の両親への挨拶だ。 同じ日の午後に俺の家に蒼と一緒に行った。 「この間蒼のところに行った時、プロポーズしてきた。承諾してもらえた。だから、二人からも結婚の許可がもらいたい。俺たちの結婚を許可してください」 「一縷さんとずっと一緒にいたいです。もう離れたくないんです。結婚させてください」 二人でさっきみたいに頭を下げた。 『やっとなんだな。おめでとう』 すごいあっさりだった。 まぁ、俺の両親だ。 許可しないわけがないとは思っていたが、ここまであっさりしているとは思っていなかった。一世一代の報告なんだぞ? でも祝福してくれるみたいでよかった。 それからは、日本に蒼が帰ってくるタイミングで、式場やらいろいろ見て回った。 蒼と一緒になって、ゆくゆくは子供も…と考えると経済的に余裕はあって然るべき。 幸いにも、俺を買ってくれる人がいたので、順調に昇進し、室長になった。 蒼の方も、研究が認められ、世界的にゴーサインが出て、順調に製薬が始まった。 二人してやっとゆっくりできる時間ができた。 ここまで来るのに、回り道し放題だった。 すれ違いもたくさんあった。 落ち込むこともたくさんあった。 だけど、俺と蒼の二人だったから乗り越えてこられた。 ついに、蒼と結婚式を挙げる。 見届け人は両家の両親だけの小さな式。 俺も蒼も大々的にやるのは嫌だった。 後日親しい人達に式で撮った写真をポストカードにして送る予定になっている。 二人でバージンロードを歩く。 神父の前に到着して、誓いの言葉を交わす。 『立華一縷。汝は健やかなる時も病める時も東条蒼を夫とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』 「誓います」 『東条蒼。汝は健やかなる時も病める時も立華一縷を夫とし、永遠なる時を過ごすと誓いますか?』 「誓います」 『それでは、指輪の交換を』 蒼にあげる指輪は俺がデザインした結婚指輪。 一生物だから俺がデザインした世界に一つだけの物を渡したかった。 蒼は一生俺のものだって意味も込めて。 蒼からもらった指輪は、一緒に買いに行った物と違っていた。 俺の頭の中が疑問符だらけになっていると蒼が耳元に口を寄せてきた。 「あれからまた買いに行ったの。僕がデザインしたんだよ?世界にたった一つの指輪。これからの一縷の人生は僕のものだからね」 蒼も同じことを考えてたなんて…。 あまりの嬉しさで涙が零れた。 蒼が微笑みながら俺の涙を拭いてくれた。 『続いて、番の儀式を』 蒼が微笑みながら後ろを向き、項を晒す。 「いち、来て」 「痛いと思うけど、ごめんな。…行くぞ」 ――ガブッ 蒼の項に俺の歯形がくっきり付いて、血が垂れた。 「ごめん、やり過ぎた。痛かっただろ?」 蒼の様子を見ようと蒼を正面に向けさせると泣いていた。 「ごめんね、嬉しすぎて涙出てきた。これからよろしくね、いち」 「こちらこそよろしくな、あお」 『最後に、誓いのキスを』 どちらからとも分からないが、二人の唇がゆっくりと重なった。 式が終わって、ポストカード用とアルバム用の写真を大量に撮り、俺たちの結婚式は終わった。 これからは二人でいろんな困難が待ち構えていると思うけど、今までの俺たちならやっていける。 ずっと一緒にいような、愛してる蒼。 死ぬまで幸せにしてやるから。

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