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第28話
side蒼
一縷からプロポーズをされて3年。
いろんなことがあった。
プロポーズされて半年後に研究が一段落ついたので日本に帰った。
そしたら、一縷が僕の両親に結婚の許しをもらいに行くと言う。
僕はそんなつもり全然なかったから心構えも何もなかった。
まさにぶっつけ本番。
ドキドキが止まらなかった。
いつも通り一縷は両親に訪問の詫びを入れるところから始まった。
「いつも突然伺う形になってしまい、申し訳ありません。先日、蒼さんにプロポーズをして、承諾していただきました。つきましては、ご両親からも結婚するにあたり、私たちの結婚を許可していただきたいのです。蒼さんと結婚する許可をください」
すごく改まった言葉の数々。
だけど、何だろう。
とても嬉しかった。
何が何でも結婚を許してもらいたかった。
「僕からも、一縷さんとずっと一緒にいたいです。結婚させてください」
二人で頭を下げる。
父が口を開いた。
『世間知らずで、我儘言いたい放題、やりたい放題な愚息ですが、よろしくお願いします』
こんなにあっさり許してもらえるなんて…。
確かに一縷は両親から絶大な信頼を得ているけど、結婚するとなるともう少し考えたりすると思ってた。
その日の午後は一縷の両親への挨拶。
一縷はいきなり本題に入った。
「この間蒼のところに行った時、プロポーズしてきた。承諾してもらえた。だから、二人からも結婚の許可がもらいたい。俺たちの結婚を許可してください」
「一縷さんとずっと一緒にいたいです。もう離れたくないんです。結婚させてください」
また二人で頭を下げる。
『やっとなんだな。おめでとう』
こちらもあっさり。
しかも『やっと』ってどういうこと?
一縷に聞いたら、僕たちの再判定結果が出た日、あまりのショックで泣き疲れて寝てた僕を除いて、皆一縷が僕を好きなことを知っていたそうだ。
僕だけ除け者にされたことに文句を言いつつ、これからの予定を立てる。
式場の下見とか新居の下見とか…。
指輪も見に行った。
なかなか気に入るものがなかった。
その時一縷の指輪のサイズ知らなかったと気づいた。
どうやって知ろうか考えたけどいい案が浮かばなかった。
結局買いに行った店でサイズを測っているのを見た。
「シンプルな物なら日常生活でつけられるでしょ?」
「派手だとつけづらいし、盗まれそうで怖いな…」
とりあえずシンプルな物をペアで購入した。
その後一縷とは別れて、僕一人で事前に調べておいたオーダーメイドの店に行った。
一縷には悪いけど、結婚指輪はペアの指輪はしない。
一縷には僕がデザインした世界にたった一つの指輪をしてもらうつもり。
プロポーズの時のサプライズのお返しなんだ。
一つ一つデザインを伝え、世界に一つだけの一縷へ贈る指輪が完成した。
喜んでくれるかな?
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