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第6話
そもそもどうしてここにおまえがいる? 嫌いなやつになぜ話しかける?
何をするにも監視して、追いかけてまで攻撃したい粘着系アンチと同じタイプの人間に違いない。
まったく理解に苦しむ男だ……と柊馬が頭を悩ませていると、ますます目をつり上げた入江が、柊馬の顔面スレスレの位置で足を振り上げた。上履きの叩きつけられる音が鼓膜をビリビリと震わせる。
「は、声も出ねえほどビビったのか」
ガキくさいドヤ顔を見せつけられ、あまりのバカバカしさに乾いた笑いしか出てこない。
「安心しろ。おまえに好みの女とそうじゃない女がいるように、俺にも趣味嗜好がある」
「……何が言いたい」
「入江は好みじゃないから心配いらないってことだ」
面倒くささを隠そうともせず、一息で言い切った。これで自分の人生にはまったく縁のない人間だと理解して、金輪際無視してくれればありがたいのだが。
しかし、そんな期待も虚しく、入江は柊馬の期待と真逆の反応をして見せた。
「はあ!? ホモ近が好みだのなんだの贅沢なこと言ってんじゃねえよ! しかも俺のこと好みじゃないって、ホモのくせに何様のつもりだ!」
いやいや最後の一言はそっくりそのまま返してやるよ……と目を細める柊馬のシャツを、入江が再び力任せに引っ掴んだ。外見だけは整った甘いマスクが、唇の触れそうな距離まで迫ってくる。
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