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第8話
本当は生徒会長なんてタイプでもなんでもない。きれいすぎる人間は距離を感じるから苦手だ。それよりは、自分にすがりついてくるような、甘ったれで危なっかしいタイプが好きだった。
「……んだよそれ。この変態クソホモが!」
「別に入江のケツは狙ってないだろ」
「はあああ? バカにしてんじゃねえ」
わざわざ身の安全を保証してやったにも関わらず、入江は青筋を立てて激怒した。勢い任せに飛びつかれ、後ろの壁にゴチンと頭を打ち付ける。痛みに顔をしかめていると、入江が体を密着させ、噛み付くようにキスを仕掛けてきた。
わけがわからず呆けている柊馬の唇に舌をねじ込ませ、内側へと侵入してくる。ぬるりとした感覚に肌が粟立った。
「ん……っ!? いり、んっ……」
抗議しようにも強引に舌を絡め取られ、呼吸すらままならない。一体なんなんだこれは。まさかの事態に少しばかり平静を欠く。それはそうだろう。今まで同志の一人も見つけられなかったおかげで、柊馬には経験がない。
ムードの欠片もないキスだけど、初めて触れた唇は柔らかく、絡み付く舌の熱さが劣情を煽る。キスの合間に漏れる入江の上ずった吐息も、下半身を熱くさせた。
「は……、なにが好みじゃない、だ。ちょっとくっついてキスしただけで、こんなガチガチにしてんじゃん」
それみたことかと口端を上げ、反応して膨らんだ部分に、入江が手を滑らせた。きゅっと布越しに握って、ゆるく上下に摩擦する。
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