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第7話

 三品の部屋はこざっぱりとしていた。  部屋について、コートとジャケットを脱がせ三品をソファに腰掛けさせた。水を入れたグラスを渡し 「たくさん水飲んで、どんどん出して下さい!あと、お風呂はしばらく入らないで!」 と言い残して享は玄関に向かった。  ここは三品の匂いに包まれていて、危ない。  なのに三品は亨の固い表情を意ともせずにソファで自分の隣をバンバン叩いている。 「まだでしょ!まあ座ってよ。」  座り心地が良さそうなソファだ。でも、三品の隣に座るのは苦行以外の何ものでもなかった。  酔った三品は躊躇いもなく大人の男の可愛げをダダ漏れにさせていた。潤んだ目を細めて、血色の良い唇で誘いかけてくる。  仕方なくソファの前のラグの上に座り込んだ。 「なぁんでぇ、こっちに座って。Sit down, boy! 」  どうして座らないのかと聞かれても答えられる訳がない。黙っていると三品が床に下りて隣に座った。  近い。  汗臭いからそんなに近づいてくれるなと遠回しに伝えたのに、それも納得してもらえない。 「なんで近づいちゃダメなの?臭くないし、床なんかに座らせられないよ。シャワー浴びる?タオル敷く?ベッド行く?」  ベッド?畳みかけるような質問と距離感にリアルにベッドに寝ているところを想像して亨の頭は混乱を極めた。 「あの、オレ、その……ゲイだから!」 「だいじょうぶぅ。偏見はないから。」 「いえ、そういう事じゃなくって!あの、オレ、先生が」 「ぶっぶー!先生じゃありません、こーいちれす!はい、最初からやり直し!」 「俺は、紘一さんが……」  勢いに任せて言いかけて、それでもどうにか自制した。なのに、三品は緩めない。 「こういちさんが、なにぃ?言うまでどかないよ。さらにその上、一枚ずつ服を脱いじゃうもんね。」  言いながらすでにボタンを外し始めている。  何がさらにその上だ、支離滅裂この上ないのに、ボタンが外されるたびに自分の股間が膨らんでいくのに気づいた亨には突っ込む余裕もなかった。 「あー、もう!もう!言いますから、脱がないで!好きなので、近づかないでください!」  その言葉にボタンを外す手を止めて、三品は真っ赤になって目の前のご馳走を我慢している亨を見下ろした。 「近づいたらどうなるの?なに、勃っちゃうとか?」  ずりずりと後ずさる亨を四つん這いになった紘一が壁際に追い詰めてゆく。 「だめです、触れたら本当に止まらなくなって……。紘一さんは、好きな相手を目の前にした男の性欲を全く分かってない!」  ズボンの中心は外から見ても押し上げられている。視線を下げてそれを見た三品は目を丸くして止まった後、亨の顎を指で掬い上げて艶然と微笑んだ。 「ねぇ、僕も男で高校生だったんだよ?それに相手もそうだって可能性考えたことなかった?」

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