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act.03
20××年4月24日 午前11時22分
イタリア南端レッチェ
ホテル≪ディ・マーレ≫前
翌日、アレッシオ達はエンツォが呼びつけた車で移動を開始した。勿論、目的地は言わずもがな。アレッシオにとって忌々しいあの場所、≪ディ・マーレ≫である。
アレッシオ達が宿泊したホテル≪ウーノ≫から車を走らせること約1時間。レッチェの中心街から離れた少し小高い丘の上。海を一望出来るその場所に、≪ディ・マーレ≫は静かに佇んでいた。
小奇麗な白塗りの壁に囲まれ3階建て、その3階左奥部分が僅かに黒く煤けていることを除けば、前回アレッシオが訪れた時と外観は然程変わってはいない気がする。
しかし、黒塗りのハイヤーや高級車がひっきりなしに乗り付けていた玄関口には人気がない。いや、それだけではなく、建物の中にすら人の気配を感じられなかった。
「なぁ、客とか全然いないんだが」
アレッシオは車の後部座席から降りながら、助手席に座っていたエンツォに訊ねた。
「いるわけないでしょう。というか、貴方は新聞すらまともに読んでいないのですか?」
何時にもまして不機嫌なエンツォの嫌味に、アレッシオは溜息を吐く。確かに、アレッシオは新聞等々を毎朝読むような習慣はない。
小難しい経済やくだらないゴシップ、“悲劇”とかなんとかいったいかにも購読者の目を惹くような小見出しの並ぶ紙面。内容が僅かに変われど、吉報よりも悲報の方が色濃く強調された紙面を毎日目にするなど、考えただけでもうんざりである。
正直、新聞を読むくらいならば、くだらない三流ポルノ雑誌を読んでいた方が幾分かマシだ。
そんなことを思っていると、アレッシオに続いて後部座席から降りてきたアルに肩を叩かれる。
「アレッシオ、君が巻き込まれた事件が起こった後、このホテルは俺達――いや、正確に言うとエンツォが別人の名義で買い上げたのさ」
「ホテル丸々一個を、か? そりゃ、馬鹿高い買い物だな」
正直、下っ端時代の雀の涙程度の給金を知っているアレッシオからしてみれば、想像も付かない買い物である。
恐らく、聞いたら腰を抜かすような大金が動いたことだろう。
「この件は、あまり知られたくありませんからね。情報が漏れることに比べたら、これくらいの買い物で済んで安いくらいですよ」
ファミリーの資金力と、事も無げに言うアルやエンツォとの金銭感覚の違いにアレッシオが驚いていると、ふと、ある事に思い至った。
「ん? なら、新聞を読んでもこの件について載ってねぇんじゃねぇのか?」
エンツォとアルの話を整理すると、情報が漏れる前にファミリーとは関係のない別人名義で建物を丸々一棟買って事件を隠蔽した、という事だ。
であれば、そもそもの話、アレッシオが巻き込まれた事件が新聞に載る筈がないのである。
エンツォの嘘に気が付いたアレッシオが彼を睨み付けると、彼は小馬鹿にしたような表情を浮かべた。
「おや、今頃気が付いたのですか?」
気が付かなかった自分も馬鹿であるが、それにしたってわざわざ騙す様な物言いをするエンツォもエンツォだ。アレッシオは、恨みがましい目つきでスタスタと先を行くエンツォの背中を見た。
「……性格悪ぃ」
思わずアレッシオの心の声が口から漏れ出ると、エンツォが勝ち誇った表情を浮かべ、振り返った。
「寧ろ、誉め言葉ですよ」
クッ、と口角が吊り上り、ピンクの瞳に愉悦が滲む。その表情は、まさに“悪党”そのものである。
アレッシオは、面白くないとばかりにエンツォの背中に向かって舌を出した。
そんなアレッシオの表情すら、今のご機嫌なエンツォには気にならないらしい。
「それより、早く中に入りましょう。我々がここに訪れている事をなるべくなら知られたくありません」
そう言って、車内で2日酔いに苦しんでいた人物とは思えないほど軽快な足取りでホテルの中へと入っていく。
いまだにエンツォの後ろ姿を憎々しげに見詰めるアレッシオの肩を叩き、アルは言う。
「子猫ちゃん、今のアイツは相手にしない方がいいよ」
確かに、今のエンツォに何を言ったところで堪えることはないだろう。寧ろ、言うだけ労力を使う上に嫌味まで聞かせられるハメになることを考えると、黙っておく方が利口である。
「腹立つけど、そうするわ……」
腹立たしさが消えた訳ではないが、アレッシオは喉まで出かかった不満や罵りの言葉を呑み込むと、アルと共に渋々、といった足取りでホテルの中へと足を踏み入れた。
ホテル建物内の電気系統は、まだ生きているらしく、アレッシオ達3人を呑み込むように開いた自動ドアが、ゆっくりと背後でしまっていく音がした。
調度品すら営業当時そのままのロビーは全くの無人で、虚しさとか寂しさだとかいった空気がホテル全体を満たしているような感じさえする。
「金かけて建てた建物なのに、勿体無ぇな……」
建設当時は何億、何兆といった金をかけて造った建物だろうに、あの一件でそれが無駄になってしまった。
そう考えると、僅かばかりアレッシオの心にも罪悪感が湧く。しかし、罪悪感を抱いたとしてもアレッシオに出来ることなど全くと言っていいほどにない。
暫定的とはいえ、アレッシオはニコロファミリーのボスではあるのだが、ホテルを再建させるような手腕もない上、アレッシオ自身が自由にできる資金などたかが知れている。
芽生えた罪悪感を追い払うように頭を横に振っていると、「子猫ちゃん、エンツォに置いていかれるよ」とアルに肩を叩かれた。
見ると、エンツォはすでにエレベーターに乗り込んでおり、早くしろ、とでも言いたげな眼でアレッシオを睨んでいる。このままエンツォを待たせることになったら、間違いなくねちねちと小言を聞かされる羽目になるのだろう。
それだけは真っ平御免である。
アレッシオはエンツォの小言が飛んで来る前に、エレベーターの中へアルと共に駆け込み、上へのボタンを押した。
すぐにエレベーターの扉が閉まり、箱形の空間に男3人閉じ込められる。それなりに上背もある大人の男3人だと、まだスペースが十分にあるエレベーターの中でさえ窮屈で息苦しく感じ、アレッシオは自身の襟元を緩めた。
体の中心はかわらず重力で下へ向かって引っ張られている感覚があるのに、3人を乗せたエレベーターは着実に階を上っていく。
そうして、チンッ、と軽快な音を立てエレベーターは3階――つまりは最上階で停止した。
ゆっくりとエレベータの扉がアレッシオの目の前で開いていく。その光景に、一瞬あの爆破事件のあったその日に戻ってきてしまったような錯覚を覚えながら、アレッシオは一歩踏み出した。
「アレッシオ、確か奥の部屋だったよね?」
「ああ」
アレッシオは短く返すと、ゆっくり歩を進める。風に乗って潮の香りと煤っぽい香りがするのは、爆発のせいで建物の一部が吹き飛んでいるからだろうか。遠くからは海鳥が鳴く声が聞こえ、建物内の静寂をよりいっそう強調するようだった。
アレッシオが先頭に立ち、アル、エンツォの順に続き奥の部屋へと歩いていく。
無人だと分かっているのに警戒を欠かさないのは、前回敵にしてやられているからだ。いつでもジャケット下のガンベルトに収納したベレッタに手を伸ばせるようにしながら、進み。最奥の部屋まで辿り着く。
爆発で吹き飛ばされた扉の先には、凄惨な光景が広がっていた。
「こりゃ、ひでぇな……」
爆発の凄さを物語るかのように大きく空いた穴からびゅうっ、と吹き込んできた風がアレッシオの呟きを浚っていく。金をかけただろう内装であったのに、壁や天井は崩れ落ち、爆発のせいで粉々になったガラスや壊れてしまった家具などが床に散らばってそのままになっている。
アレッシオが飛び降りたあの窓も、僅かに残る下枠の部分が半分溶けたような形状で壁にへばり付いていた。
事件後初めて訪れる現場の光景に、アレッシオは絶望を感じていた。この現場を目にするまでは、もしかすると、トマゾが生き残っているかもしれないと、一縷の望みすら抱いていたのだが。現場を目にする限りでは、その望みも薄いかもしれない。
煤っぽい空気の中、アレッシオは足元に注意を払いながら一歩、また一歩と部屋の中へと入っていく。この時アレッシオを突き動かしていたのは、トマゾに続く痕跡を僅かでもいいから手に入れたいという思いだった。
「子猫ちゃん、足場が脆くなってるかもしれないから気をつけてくれ」
「んなの、言われなくてもわかってるっての」
やりきれないような気持ちがアレッシオの胸の中をかき乱し、アルに八つ当たりのような言葉を投げつけてしまう。足元に転がる瓦礫も鬱陶しくて、アレッシオは黒く焦げた家具の破片を苛立ちまぎれに蹴り付けた。が、そのせいで堆積していた埃や煤が舞い上がり、後ろを歩いていたエンツォが咳き込む。
「ゴホッ、ゲホッ!! ……っ、埃が舞うのでやめて頂けませんかね。私は貴方がたと違って繊細なんです。もっと静かに歩いてくださいよ」
例の如く嫌味が飛んできたので、アレッシオが振り返って見ると、エンツォはジャケットのポケットから取り出したのだろう青いシルクのハンカチで鼻から下を覆っていた。
いかにも神経質な彼らしい行動であるが、汚れや埃が気になるのならば部屋の外で待機していればよかっただろうに。そんなことを思いながら、アレッシオは再び視線を前に戻した。
黒に殆ど侵食されてしまった空間の先、青色の空が広がっているばかりで、手がかりになるようなものが何一つない。いや、あったとしてもこの状態ではそれすらも粉々に吹き飛んでいる可能性が高い。
「チッ、何にもねぇな……」
苛立ちと共にアレッシオがそう吐き出すと、傍にやってきていたアルに肩を叩かれた。
「ねえ、子猫ちゃん。あの日の一連の流れを思い出せるかい?」
アルに言われ、アレッシオは顎を擦りながらあの日のことを思い出しにかかる。
「あ? あー、確か……ここに来て、アキヤマと会って。それから、計画通りにトマゾが建物内の警報機を作動させて……、それからトマゾと合流してアキヤマと喋ってたら、赤のレーザーサイトがアキヤマの頭狙ってんのが目に入って……っ、そうか!!」
難しい表情でぽつぽつとあの日のことを語っていたアレッシオだったが、そこまで口にしたところでその表情が一変した。
「その様子だと、何かわかったみたいだね子猫ちゃん」
「一体何が分かったというんですか?」
早く説明しろ、とでも云わんばかりのエンツォの声を無視して、アレッシオは入って直ぐの部屋まで引き返し、壁際まで進むとその場にしゃがみ込んだ。
煤で手が汚れることも気にせず、床の上に散らばるガラクタの破片を避けながら目当ての物を探す。
幾つかの木片やガラクタを退けたところで、煤けてくすんでいるがそれでもキラキラと光る破片がアレッシオの視界に入った。
「……っし、ビンゴだ!!」
アレッシオが床の上から拾い上げたのは、表面が鏡のような破片だった。
「鏡、ですか?」
アレッシオの手元を覗き込みながらエンツォが尋ねると、アレッシオは、ああ、と頷いた。
「しかし、鏡は鏡でも、ただの鏡じゃねぇはずだ。多分、マジックミラー……それも、飛散防止用のフィルム貼ったやつだ。見ろよ、表面が変な焦げ方してやがる」
アレッシオはエンツォの方に黒く炭化した何かがへばりついた鏡の破片を放る。
唐突に放られたソレに狼狽しながらエンツォが破片を受け取る。そうして、「確かに、普通の鏡とは違うみたいですね」と、手の中の物をしげしげと眺めた。
アレッシオはもう一度しゃがみ、床から木片を拾い上げて、手の中でそれを転がした。黒く焦げた部分も多いが、火を免れた部分には細やかな彫りが施されていた。
確認し終えた木片をアレッシオは床へと落とし、踏む。焼けて脆くなった木片はアレッシオの足元で、パキッ、と乾いた音を立てた。
「あの日、ここの壁には鏡が掛けられてた。マジックミラーの特別製の鏡が、な。そして、アキヤマを狙ったサイトは、この鏡のある方向から照射されてたんだよ」
アレッシオの頭の中で点と点が繋がり、線になった。
ほぼ確信に近いだろう自身の考察に、アレッシオは内心歯噛みしたいような気持ちを味わっていた。あの日、いち早く鏡の存在に気が付くことが出来ていたら、と思うと悔しくて仕方が無かったのだ。
ある程度確認が終わったのか、エンツォが今まで見ていた破片を口元を覆っていたハンカチを使って包み、スーツのポケットへと入れる。後で、詳しい者に調べさせるのだろう。
「その見た目の割りに頭は回るんですね」
褒めるときでさえ皮肉混じりなエンツォに、アレッシオは溜息を吐いた。
「意外は余計だっつうの。それより、鏡がマジックミラーなら恐らく敵さんは……」
言葉を切り、アレッシオは視線を黒く煤けた壁の向こう側――隣の部屋の方向へと向ける。あの爆破事件のあった日、敵はアレッシオの直ぐ近くに存在していたのだ。
「クソッ!!」
自分に向けたのか、敵に向けたのかわからないような罵りがアレッシオの口から飛び出る。苛立たしげに足元の瓦礫を蹴りつけると、アレッシオは隣の部屋のある方へと歩き出した。
そのすぐ後ろをアルが歩いてついて来る。
「子猫ちゃん、冷静に、ね?」
「わかってるよ。ああ、クソッ。最悪の気分だ」
アルに指摘されるほど冷静さを欠いた状態に見えていたのか、とアレッシオは自身の血の昇りやすさに唾を吐いた。そうして、深く深呼吸すると、頭の中を切り替える。
怒りに流されている場合ではない。一つでもいいから、何か敵に繋がるような証拠を探さなければならない。それに、アレッシオ達が証拠を掴むのを敵が黙ってみているわけは無い。
今、この瞬間にも襲撃されてもおかしくない場所にアレッシオ達はいるのだ。
アレッシオは、足音を忍ばせ隣の部屋の扉の脇までやってくると、壁越しに中の様子を伺った。そうして、3秒ほど待ってから、ドアノブに手をかけ――一気に開けた。
バン、と扉が壁に叩きつけられる音がした。最悪銃声が続くことも覚悟していたアレッシオだったが、聞えてきたのは耳に痛いほどの静寂。
それでも気を抜くことは出来ないとばかりに、アレッシオはジャケット内側のベレッタに片手を掛けながら部屋の中へと進んでいく。
部屋の中は、爆破される前の隣室と然程変わらないようなつくりになっているようで、奥の部屋の海を望む大きなガラスは爆風で割れてしまっていた。しかし、それ以外はあまり目立った損傷はなく、いっそ不自然なくらいに綺麗なままだった。
「……こっち、なんでこんな綺麗に残ってんだ?」
油断なく部屋の中を見回しながら、アレッシオはこの部屋に足を踏み入れた時から感じていた違和感を口にしていた。
「あっちの部屋だけ飛ばせるくらいの火力を使ったんだろうが、……解せないね」
アレッシオの背後を守るように周囲を警戒するアルも、アレッシオと同じ違和感をこの部屋に感じていたようで首を捻る。
「証拠を掴ませたくねぇならこの階ごと吹き飛ばしゃいいのに……。つーか、まさか、わざと証拠掴ませようとしてんのか?」
「そんな、馬鹿な話あるわけないでしょう」
アレッシオの独り言のような推測に噛み付いてきたのは、やはりというべきかアレッシオのことを目の敵にしているエンツォだった。
アルに続く形で部屋に入ってきたエンツォはアレッシオを馬鹿にするかのごとく鼻を鳴らす。
「何処の者かは知りませんが、ニコロファミリーに真っ正面きって喧嘩を吹っかけてくるなど――」
「100パーセント“いない”って言い切れんのか?」
先ほどの仕返しではないが、アレッシオがエンツォの言葉を遮るようにそう言った。その瞬間、エンツォの眉間に深い皺が刻まれた。言い返される事を予想していたアレッシオだが、エンツォはそれ以上何も言ってこなかった。
エンツォが言い返してこない、ということはアレッシオが言ったことは当たっているのだろう。
「子猫ちゃんは、俺達に喧嘩を売ってきたのは誰だと思う?」
「兵力考えるならフィオレンティーノだが、バッティスタやチェザーレも可能性はゼロじゃねぇ」
「俺も心当たりがあり過ぎて、いまいち的が絞りきれないかな」
「……新手である可能性もありますよね」
「なんにせよ、情報が少なすぎる今の時点では絞れねぇな」
憶測すら満足に立てられない今の状況にアレッシオは苛立ち、ベレッタに触れていない方の手で乱暴に髪を掻き混ぜた。敵が見えない状況というのは、相当に厄介だ。
「これで、身内に襲撃犯いました~とかなったら、マジで洒落にならねぇわな」
最悪の想像をしてしまったアレッシオだったが、誰もそれを鼻で笑う者はいなかった。寧ろ、2人の無言は肯定よりも重く、その可能性すらあると鼻先に突きつけられたようでアレッシオの胸を苦いものが満たしていった。
一気に重苦しくなった空気の中、アレッシオは爆破された部屋を隔てる壁の側までゆっくりと歩いていく。
壁の側までくると、壁面をなぞるように片手を動かし始めた。と、だいたいのアタリをつけていたこともあって、アレッシオの手は直ぐにそれらしい違和感に触れる。
「ここ、か」
アレッシオは力を入れて違和感のあった部分を押した。すると、バリッ、と紙が破けるような大きな音がして、アレッシオの手の平くらいの穴が開いたのだ。
「アタリ、か。敵さん、こっからマジックミラー越しに俺らを見てやがったんだ」
「それって、確か暗い方から明るい側を見ると透視できる鏡、だったかな」
「そうそう、ジャッポーネのAVにこの鏡使ったやつあるんだよ。それで俺も覚えてたんだよな」
誇れるようなものではないにしろ、いつどこでこういった知識が役に立つか分からないものである。
「AV……、そんな俗物的なものを見てるんですか?」
エンツォの軽蔑するような声に「男の嗜みだろ、嗜み」と軽く返し、アレッシオは空いた穴の向こう側を確認する。と、アレッシオの考えていた通り、黒く煤けた部屋が見えた。
「壁紙の継ぎ目とか上手く隠してるわりに、穴そのもの残したまんまとか……どういうこった」
覗き穴にしてはだいぶん大きいそこから顔を離しながら、アレッシオはますます訳がわからないといったふうに首を傾げる。穴を隠すために上から壁紙を貼り付けてあったようだが、壁をパッと見た瞬間、アレッシオには継ぎ目が分からなかった。それほど精巧に隠蔽が行われていたにしては、穴自体は埋められもせず残されている。
時間が無かったから埋められなかったのだとしたら、この階ごと吹き飛ばせば済む話だ。
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