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第8話

脱ぎ捨てるようにスーツを放り投げ、浴室のドアを開け勢いよく頭からシャワーを被る。 部長と清藤がどういう関係だろうとプライベートなことはと…頭ではわかっている。 じゃあこの胸に突き刺さるような痛みはなんなのか。 考えることを避けたいと思いながらも思考が頭の中を駆け巡る。そして真意となる核心をこじ開けることが怖く見て見ぬ振りをしたい。 自分より先に知り合っただけのこと。見ているだけだった自分はたった一日の付き合いで、清藤のことは何も知らない。 蓮根が苦手で、煙草を吸う仕草が綺麗な人。仕事に厳しく容赦がない。 手脚が長く、早足で早食い。綺麗な瞳は色素の薄い琥珀色の澄んだ瞳。その瞳にーーーー 映る自分をどう思っていたのか… 憧れている。仕事をする上での目標でもある。 自分もああなりたいと思っていた。 だが…これは……嫉妬だ。 部長に肩を抱かれ見上げる熱い視線。その熱い視線を向けられる部長に嫉妬している。 「マジかよ…」 壁に手をつき流れ落ちる水が排水口に吸い込まれていくのをじっと見つめる。 男の清藤、それも上司に…想いを寄せている。恋愛対象として…好きなんだ… その言葉を避けようとしてもどうしてもそこに辿り着く。人に憧れるなんてことは生まれてこの方一度もなかった自分が憧れる存在を恋愛対象と見ているのか… 憧れの先輩に好かれたいと思う気持ちは持ったことがない。これは恋愛対象としてみているってことなのか? 垂れ下がる勢いのない中芯に手を伸ばした。確信が欲しい。この気持ちの確信が。有耶無耶なまま明日から清藤とどう付き合っていけばいいのかわからない。 多分、自分なら…清藤と部長を邪な目では見なくても、頭にインプットされたあの光景がずっと燻らせるだろう。 しっかりと瞳を閉じ、中芯を緩く摩る。 脳内で清藤の上質なスーツを脱がせていく。あの熱い視線が自分に向いたらどうなるのか。 腰のあたりからゾワゾワと熱が集まってくる。熱を持ち始めた中芯はワイシャツのボタンを外しその素肌が見えたところで完全に勃ち上がった。 裸に剥かれていく清藤の熱い視線と長い腕が自分の後頭部に絡みつく。潤む瞳は真田の昂まりを更に追い詰めていく。 速度を早める自分の手と間近で見る清藤の潤んだ瞳。その絶大な威力は真田の先端から蜜を溢れさせる。 近付いてきた清藤の顔が自分の唇に触れようとした瞬間…昂まりは頂点を迎え白濁を飛ばした。 息の上がった身体を丸め蹲る。 確信が欲しかった。この気持ちの確信が。 それは壁に飛ばした白濁が証拠だとでも言うように存在する。 「どうしろって言うんだよ…」 確信のその先はこの想いを持て余すことになると、冷めてきた頭が考え始めている。 それでも…誰にも言えない想いでも…清藤への想いを止めることは出来ないと軋む胸が悲鳴を上げていた。

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