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第37話

「まあそうだな。掃除はしやすいよ…」 歯切れの悪い清藤に首を傾げた真田はその真意を読もうと顔を覗いてはみたのだが、平然としたその表情からは何も感じ取ることはできなかった。 何を思っているかなど気にも留めなかった真田はもう一度部屋を見渡し何となく清藤らしいと思った。テレビとソファ、ラグさえ敷いていない殺風景な部屋であっても清藤が鞄を置いたのはソファの隣。その側面には雑誌を差し込むスペースがある。テレビボードにはきちんとDVDが収まっていてこれ以上はきっと増やさない算用なんだと伺える。実にスリムな部屋の中に合理的で機能性を兼ね備えてある清藤らしい部屋だ。 「今日泊まってってもいんですよね」 「…うん…」 清藤にそう訪ねれば真田の顔を見ずこれまた歯切れの悪い返事をした。 「友海さん、こっち見て?なんか言いたいことがあるんじゃないの?」 どうもおかしい清藤の態度に無造作にソファに放り出されて手を握り締めた。嫌な予感が真田の中に渦を巻き始めた。 清藤を疑ってなどいない。いないのだが清藤のあからさまな妙な態度にざわざわと胸が騒ぐ。 「…元希…引かない?…いつかは言わなきゃなんないんだけど…お前に引かれたら立ち直れない気がする…」 「何に引くんです?俺は生半可な気持ちで友海さんと付き合ってるわけじゃないですから。なんでも受け止めます。だから隠し事は無しでお願いします」 「…本当に…受け止めてくれんの?俺がどんな奴でも?」 「どんな奴でもです。見くびらないでください。そんな薄っぺらな気持ちじゃない」 断言すれば清藤の強張った表情が少しだけ柔らかくなった気がした。後一息…なんでも話せる信頼し合える関係になりたいと真田は思っている。いつでもどんな時でもどんなことだって清藤の為なら理解したいと思っている。 グッとキツく瞳を閉じた清藤の横顔を見つめ、そんなに勇気をふり絞らなければいけないことなのかと生唾を飲んだ。 「こっち…きて…」 掴んだままの手を引き立ち上がった。そして寝室であろうドアの前に立った清藤は心配そうに真田を見上げた。

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