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第39話
「友海さんの癒しなら…俺は何も言わないよ。どんな友海さんだって好きなのは変わらない。ちょっとびっくりはしたけど」
清藤に向ける真田の優しい言葉でホッと息を吐いた。
これが原因ではないにしてもこれまでの恋人に引かれた事を思い出し、清藤は息を詰めていた。自慢ではないが自分に言い寄ってくる人間は多くいる。見てくれに絆されて言い寄られることも少なくはない。人それぞれに嗜好はあるにしてもイメージと違うとか、ことごとく失言に耐えてきた。
それも軽くトラウマになりそうなほどに。ここで、真田に引かれれば立ち直れないと思うほどに清藤は真田に惹かれ離れられなくなっている。たかが外れる音が聞こえたような気がして清藤は心を解かれ笑みが溢れた。
「…お前に引かれたら凹むなって思ってたんだ…ありがとうな」
纏わりつくように首元の腕を絡めて真田を愛おしそうに引き寄せた。
微かに震えているような気がして清藤がどんな思いで打ち明けたのか伝わってくる。上司と部下、男同士というものを取り払い、人としてお互いに惹かれあっていれば相手を理解したいと思う。それが清藤なら尚更だ。
「鞭とか縄紐がなくてよかった…」
クスクスと笑いながらボソリと呟いた真田の言葉を拾った清藤は身体を離し至近距離で瞳を合わせた。
「なんだよそれ」
「ちょっとびびってたんですよ。ここを開けたら猿轡とかされたらどうしようって」
「そんな趣味はないぞ。お前を痛めつけて快感を得るような趣味はない」
怒りを含んだ声に真田は声を上げて笑った。大切に思ってくれている清藤の気持ちが染み込んでくる。
「それを聞いて安心しました。いくら愛してても辛いのはちょっと嫌だから」
再び抱きしめられた真田は胸元でクスクスと笑った。それ以上言わせたくないのか清藤の腕に力がこもる。それが嬉しくて清藤の腰に腕を回した。
「とりあえず風呂入ろう。腹も減ったしピザでも頼むか」
話を切り替えた清藤に手を引かれ立ち上がり、今度は清藤を抱きしめ幸せを噛み締めながら合わせるだけのキスを落とした。
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