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第45話

結局、是澤に金曜の予定を半ば無理やり入れられる羽目になってしまった。 午後はミーティングルームに入っていく清藤の姿を見送り、メールでの指示で仕事を振られ清藤の姿がないことに寂しさを感じながら定時を知らせるアナウンスと共に、バラバラと席を立ち上がり帰っていく社員を見送りながら残りの仕事を片付けていた。 そして定時を一時間程過ぎたところで部長を先頭にぞろぞろとミーティングルームから出てくる中の清藤を目で追う。 気が付いた清藤は少し口角を上げた。そして人差し指がドアの向こう指す。スモーキングルームに行くというこということだろう。真田はそそくさとPCの電源を落とし清藤の後を追った。 電子タバコと葉タバコを使い分ける清藤は、葉タバコの紫煙を吐きながら横目で真田の気配に視線を向けた。 「お疲れ様です」 そう声をかければ、二人の時だけに見せる甘い笑顔を見せ微笑んだ。 「お疲れ。本当、今日は疲れたよ……この後部長が飯に行こうって言ってるけどお前は大丈夫?」 「もちろん行きますよ。そのつもりで仕事早く終わらせたんで」 「あ……仕事なぁ……うちの部署少し形態が変わるんだよな……真田は俺が引っ張るけど」 今日の長い会議の内容を少し把握し、疲労が見える清藤の顔色に死角になる灰皿の隅に清藤を押しやりその細身の身体を抱きしめた。 「何?癒してくれんの?」 クスクスと笑いながら清藤の手が背中に回る。消えかけた香水の匂いと一緒に清藤の香りを吸い込んだ。 「あんたを癒すのは俺の役目だし」 「はは、そうだな」 吸い終わった煙草を灰皿に放り込んだのを確認したと同時にもう片方の手が腰に纏わり付いた。 「部長に変なこと言うなよ。あの人は俺の恩人なんだ。詳しくは追い追い話すけど粗相のないようにな」 部長の肩を持つような言い草が面白くなく、引き剥がした身体に唇を近づけその唇を奪った。胸を叩く清藤の手を握りしめ次第に力が抜けた頃合いを見て唇を離す。 「お前な……腑抜けた顔で戻らなゃきゃなんなくなるだろ。まだ勤務中!」 コツンと胸を再び叩いた清藤はその胸元に顔を埋めた。 「……続きがしたくなるだろうが……」 放った科白と反対な縋り付く清藤に、また可愛いらしい一面を見せられた真田は押し倒したくなる衝動をある意味拷問だと苦笑しながら、自分で一杯になっている清藤にほくそ笑み、勝敗を勝手に決めた自分の幼い思考にも苦笑する。

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