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第80話

休日を清藤のマンションで過ごし、週明け二人揃って清藤の自宅を後にした。 部屋にこもり、欲しがる清藤に煽られて何度も身体を繋げた。さすがの空腹には耐えきれず、日が傾き始めた頃に食事へと出かけた。 「腰、大丈夫ですか?」 欲しがったのは清藤なのだからと思う所はあったが、負担が大きいのは清藤の身体だ。何度も腰を擦りながら起き上がった清藤は飲み物を運んだ真田に寄りかかり甘えた様子を見せた。 いつもとは違う清藤の儚げな様子に愛おしさが溢れる。 守れる程の器量はないが、自分がいないと不安になるくらいの存在になりたい。 既に清藤の存在が真田の中では大きく占めている。 清藤の脆さを受け止められる包容力が欲しいと切望するが、どうすればそんなものが備わるのかわからないのだが。 焦る気持ちは清藤が年上だからだろうか。そんなことを思いながら清藤の肩を引き寄せた。 「お前の腕の中は気持ちいいな。なんでだろうなぁ、違和感なく収まってると思わないか?」 立ち上がりよろけた清藤を腕の中に収めて真田も同じことを思っていた。男を抱きしめたことはないが、少しだけ背の低い清藤は自分の胸に違和感なく収まる。それは心地よく、いつまででも抱きしめていたいとさえ思ってしまう。 「同じこと思ってました。なんででしょうね」 「そこは愛があるからだって言えよ」 「愛って……」 「ハグじゃないんだからここには詰まってるだろ、愛が」 トンと叩く胸元を二人は同時に見つめた。ここに取り込み収めたいのは清藤だけだ。ならここには愛が詰まっているということになる。 臆面もなく愛だと言う清藤は真田を見上げコトンと肩先に頭を下ろした。 「ここは俺専用だからな」 「当たり前です」 「だったら愛が詰まってるって言えよ」 「……詰まってますよ。溢れんばかりの愛がね」 「ふふ、そうか」 満足そうに背中に腕を回しキスをせがんだ清藤は喉元で笑った。 言葉を欲しがる清藤の真意はその頃の真田には解らず、ただ恥ずかしがるだけだった。 企画部のドアを開けると清藤のデスクの前に少々苛立った様子の二宮が立っていた。 清藤を見るなり手招きをし、押し込むようにミーティングルームに連れ込んだ。

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