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第110話

 我を忘れて、まるで獣のように清藤を求めてしまう。  溢れる涙がなんとも綺麗で、ただただ見惚れる程の妖艶さを撒き散らす清藤に誘われる。  どこもかしこも愛おしくて堪らない。自分を求める愛しい指先が触れる度に湧き上がる欲求を抑えられずに頂点を目指し突き進む。  決して清藤を置き去りにすることなく、まるで磁石のように引き寄せられ離れられないとでもいうかように心も身体も惹き寄せて離さない。  互いの名前を呼び合い、白濁を何度も白い肌に飛ばし、それでもなお求めてくる貪欲な清藤が愛おしくて堪らなかった。  誰も触れたことのない秘めた最奥をこれでもかと触れ、その柔らかな場所に何度も精を放ち、清藤を精一杯の想いを込めて愛し続けた。  荒い鼓動はどちらのものなのかわからないほど隙間なく肌を合わせる。ゴロリと隣に寝転べは清藤の長い腕が身体に絡みつく。 「もう、無理ですよ」  数えてはいないが、搾り取られるように全てを放ち切った。体力には自信がある真田だが、清藤の体力は底なしのようだ。その細い身体のどこにその精力が隠されているのかと不思議になる。 「色気ないな、他にいう言葉があるだろ」  真田よりも早く呼吸が安定してきた清藤が笑う。  100メートル全力疾走を何度も繰り返したのは真田だけなのだから余力は清藤のほうがあるのかもしれないと、真田は喉元で笑った。 「気持ち良かった。友さん最高!」 「はははっ、なんだそれ。でも俺も気持ちよかった。いいなこうゆうの」 「……こういうの?」 「なんかさ、愛されてるんだって実感する。ちょっと嫉妬もしたけど今は俺だけのもんなんだってすごく嬉しい」 「なんの……嫉妬?」 「元希はこんな風に女抱いてたんだって……でももう俺のだからもうヤキモチは妬かないよ」  咄嗟に起き上がった真田は清藤を見つめる。穏やかな面持ちで微笑みを返してくるその表情にホッとし、その頬に触れる。 「こんな風に、女を抱いたことはないよ。こんなに興奮したこともないし充足感を感じたこともないし……」 「うわっ、それ最低だな。でも嬉しいかも…今までの女と同じ立ち位置は嫌だから。俺は男でおまえの最高の恋人でありたい」 「何言ってんですか!女の代わりになんてしてないし、そんなことは思ったこともない!友さんは憧れの上司からの俺の大切な大切な恋人なんだから。過去の人達と同じなんてありえない。別格で別物です!」

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