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第145話
夕飯を済ませ、先に風呂に入ると清藤は席を立った。
昼間は一緒に入ると駄々をこねた清藤の態度とあからさまに違うことに、真田は昼間の話をしなければ良かったと後悔していた。
実家の両親に電話をした時も、
「あっちの部屋行ってくる」
と気を遣う。
「聞かれて困ることなんてないよ。何も後ろめたいこともないし。友さんはここにいて?」
渋々、またゴロンと横になり脚に背中を添わせスマホを手にした。
電話口の母に日本に帰ってきたことと、近いうちに一度帰ることを伝えた。
『元気ならそれでいいのよ。電話下さった課長さんによろしく伝えてね。仕事頑張んなさいね』
ものの数分で終わった会話に、スマホを放り出し動かない清藤の傍に寝転んで、背中から抱きしめた。
「俺は友さんが男だとか上司だってことは関係ないと思っている。
あんたが好きでどうしようもないくらい好きで、ずっと一緒にいたいんだ。
それを誰になんて言われても、友さんといたい。
俺達助け合いながら生きていくんだよね?愛してるから助け合って生きていける。そう思ってるんだ」
「ありがとう……」
回した腕を握りしめて清藤は泣いているようだった。真田は何も言わずただ抱きしめた。
「元希〜入ってこいよ」
元気な声が聞こえて、ほっと息を吐いた。
真田は急いで服を脱ぎ、彼が作ってくれた脚の固定された部分を覆うカバーを装着しドアを開けた。
湯船に浸かる清藤と目が合った。
頬を染めてふっと視線を逸らす。
裸なんて何度も見てるはずなのに清藤の恥じらいは可愛くて困る。
座って洗えば人の手を借りなくても自分で洗えるというのに、清藤は世話をしたがる。
忍耐との戦いだが、それが気持ちの落ち着きに繋がるならと世話を焼いてもらうことにした。
「まだ、痛む?」
「うーん、痛いところもあるけど、内出血が酷いだけでマシになってきてるよ」
背中を洗いながら心配する清藤の見ている部分が一番酷いのはわかっている。
それを見て心配するのは仕方がない。
「元希、あのさ……」
「なに?」
「……抜いてやろうか?」
「え?」
「そ、そりゃ入れたほうが気持ちいいのはわかってるけど、今はまだ出来ないし……俺が抜いて差し上げたい」
その言い方に吹き出して声を上げ笑った。気分を良くした真田はふと思い付いたことを提案をした。
「じゃあさ、友さん、抜き合いっこしようか?」
「……抜き合いっこ?」
「俺も友さんも気持ち良くなれるし、俺もそのほうが嬉しいし」
「え?え?!あ、お、俺はいいよっ」
「遠慮しないで。一緒に気持ち良くなろ?友さんの可愛い顔が見たい」
振り返った真田は、泡だらけの身体で戸惑う清藤を抱きしめて浴槽のヘリに座った。
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