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第146話
「はぁぁぁ、緊張した……」
「え?」
「お前、シたそうだったから、抜いてやろうと思ってさ……タイミングって難しいな……」
(ああ、だから素っ気なく風呂に向かったのか……)
「あのさ、親に紹介したいって……気にしてたらごめん」
「え? あ……まあ、焦らなくてもいんじゃないか? 俺と元希との関係が変わるわけじゃないし」
「ほんとにそう思ってる?」
「思ってるさ。なんか、心配かけてるよな。ごめんな」
泡まみれの身体に腕が回り、清藤の唇が重なる。
どんなことも言葉にして伝えないと分かり合えないと思ってはいても肝心なことは中々言えないものだ。
離れた唇から糸を引き、濡れたそれは妖艶に光る。
首元に指先を這わし身体についた痣を数えるように、胸を伝って下腹部に辿り着く。
床に跪いた清藤が色香を含んだ瞳で見上げた。腿を伝う指先とその瞳に、ゾワゾワと快感を束ね中芯へと集まっていく。
男の割に細い指が芯に絡みつき緩く抜いた。
「……向こうで……一人でシた?」
「……うん……」
「……俺のこと、考えた?」
「いつだって、頭ん中は、友さんのことだけ……」
完全に勃ち上がったソレを清藤は迷いなく口に含んだ。熟知した舌は弱いところを攻めていく。
自分では得られない久しぶりの快感にクラクラと理性を飛ばしていく。
「し、しばらく、ヌいてないからっ」
清藤は久しぶりの真田の昂りが愛おしく嬉しさに似た感情が沸きあがる。
この雄の塊で中を掻き混ぜて欲しいと湧き上がる欲望に、作り変えられた身体が熱を持ち始め、 込み上げてくる複雑に絡み合った感情に戸惑ってしまう。
性急に射精を早めようとする長いストロークは速度を増し、抗うこともなく呆気なく清藤の口内に果ててしまった。
そして清藤は迷いなくそれを飲み込んだ。
「男のモノが愛おしいなんて思う日が来るなんてな……」
そう呟いた清藤は口元に付いた白濁をペロリと舐めた。
覗かせた紅い舌にゾクリとする。
「エロ……」
満足気な顔を見せ、立ち上がった清藤がドアの取っ手に手を掛けた。
「友さん、どこ行く気?」
「えっ、出る、んだけど」
「まだイってないでしょ」
逃げようとする彼の手を取り引き戻せば、
顔を引き攣らせ困惑した顔を見せた。
「どうしたの?友さんなんだか変だよ?」
俯いたその表情から、今度は何が彼を悩ませているのかを読み取ろうとする。
「なんかさ……この二週間、色んなことがあって……」
「……うん」
黙り込んだ清藤は言葉を探しているように見えた。
さっき、清藤は緊張したと言った。そして真田の裸体を見て恥じらうように顔を背けたが、愛を感じる指先は真田を翻弄した。
それはどういうことなのか。真田は必死にその真意を探した。
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