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第11話 混乱の日々

 翌朝、結太はベッドの横で何かモゾモゾと動くものを感じて、目覚まし時計が鳴る前に目を覚ました。 「……ん」  何だろうと、重い瞼を持ちあげると、隣に裸の男の背中が見えた。 「え?」  目をぱちぱちとさせる。よく見るとそれはベッドに座った宗輔だった。 「……あれ? 宗輔さん?」  宗輔はなぜか、俯いて固まっていた。  どうして彼が服も着ないで自分のベッドにいるのかと不思議に思いながら起きあがろうとしたら、いきなり胸ぐらを掴まれた。 「おいっ」  こめかみの血管がブチ切れそうな形相の宗輔がたずねてくる。 「これは何だっ」 「苦しい苦しいですっ」 「お前、俺に何をした?」 「何だって、何ですかっ」  パジャマをグイグイ掴まれて、息も絶え絶えに問い返した。ふと、視線を落とすと、宗輔の股間に破れた白い紙のようなものが絡まっている。そして、その隙間から彼の立派なものがこぼれでそうになってた。 「え? はえ?」  思わず凝視すると、また締めあげられた。 「って、宗輔さん? あれ? どうして? 赤ん坊は?」 「何訳のわからんことを。これの説明をしろ。何で俺がこんなものをつけられてる」 「っていうか、宗輔さんは一体今までどこにいってたんですか」  そのとき、枕元の目覚まし時計がけたたましい音をたてて鳴りだした。ふたりの動きがとまり、目が時計に注がれる。 「あ、起きる時間だ」  時間は午前七時を指していた。 「俺もだ。くそっ、今日は長野に出張の予定だ。遅刻する 」  宗輔がベッドから飛び降りる。するとその拍子に絡まっていた紙が落ちた。それは新生児用の紙オムツだった。 「え? 何で?」 「何でこんなもんを俺に」  怒りもあらわに、長い脚で紙オムツを蹴りとばす。驚く結太を放って、宗輔は素っ裸のまま寝室をでようとした。 「俺の服はどこだ?」 「え、服?」  結太も慌てて、後を追ってベッドをでた。 「昨日着ていたスーツなら、玄関の袋の中にありますけど……」

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