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第15話

「僕は彼の弟です。だから、この子は僕が引き取ります」  結太は引き取りのための書類の処理を行うと、何度も礼を言って交番を後にした。  自分の予想を疑いつつ、けれどそれ以外には考えられなくて、結太は帰りの新幹線の間中、困惑しっぱなしだった。大量の荷物を抱えて家路につく間、宗輔のスマホは何度もメッセージを受信して震えていた。きっと宗輔の勤める弁護士事務所からだろう。しかし、パスワードを知らないのででることもできなかった。 「ホント一体これどうなってんの」  考えても答えはえられない。けれどこの赤ん坊は、多分、宗輔が変身した姿なのではあるまいか。とても信じられる現象ではないのだが。万一、そうではないとしたらそのときは宗輔が帰ってきてから相談すればいい。彼は弁護士なのだし、何かしらの対策を考えてくれるだろう。 「訳わかんないよ」  日ごろ難しいことには使わない頭を捻りに捻ったせいで、家に帰り着いたときには、ぐったりと疲れ果てていた。 「ふぎゃあふぎゃあふぎゃあああ」  お腹がすいたのか、赤ん坊は途中から泣きっぱなしだった。 「わかったわかった今ミルクあげるから」  クタクタの足を引きずって台所にいきミルクを作る。昨日と同じように飲ませると、赤ん坊は大急ぎで吸いついてきた。 「あれ?」  んぐんぐと飲み干す姿に、違和感を覚える。 「昨日より、大きい」  今日の赤ん坊は、明らかに昨日より大きい子になっている。まさか昨日とは違う子なのかと思ったが、顔立ちは同じように思える。 「どうなってんのこれ」  結太には理解できない事柄が起きている。  首を傾げつつ、しかし往復六時間の行程に疲労困憊だった結太は、昨日と同じようにベッドに赤ん坊を連れていくと、色々とよく考えることもできずに、そのまま一緒に眠りに落ちたのだった。

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