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第19話

「だから精霊が怒って、宗輔さんの中に入ってしまったのかも」 「…なら俺も修復を手伝ってやる。それでいいだろ」  不本意そうに言う。 「それで精霊が許してくれるといいんですが」 「でなきゃ俺は終わりだ。毎日紙オムツをつけて目覚める人生など人として終わっとる」  結太を放りだすと、嫌そうに目をとじて眉間に指を押しあてた。 「宗輔さん、弁護士なのにちょっと言葉づかいが悪すぎやしませんか?」  結太が乱れた服を直しながらこぼす。 「俺は素のときは昔からこういう喋り方だ。もちろん仕事のときは紳士的に対応してるぞ」  自分にも紳士的になって欲しいものだと思いつつ結太は言った。 「しかもすぐ手がでるし。暴力的な行為は職業上どうかと思いますよ」  上目で非難するような視線を向けると、宗輔はちらとこちらを確認してから呟いた。 「わかった。理性的に対応するように努力する」 「というか、どういう作用でいきなり赤ん坊に変身してしまうんでしょうね。何か、変身するきっかけみたいな事象があるのかな」 「俺にわかるか。お前が考えろ」 「宗輔さんのほうが頭がいいのに」 「確かに。俺が考えるわ」  あっさり言われて、密かに傷ついたが黙っておく。宗輔は昔から学業も結太よりずっと優秀だった。  一緒に暮らした六年間、宗輔は部屋にこもって勉強ばかりしていた。もちろんそれは、家族と顔をあわせたくないという理由もあったのだろうけれど。 「おい、それから聞いておけ」 「はい、何ですか」

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