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第34話*
「え? どうして」
なぜこの状況で? 結太は目を瞬かせた。
そして、いつもは理知的で冷淡な相手が、間近で感情をあらわにしているのにひどく戸惑った。胸の奥からザワザワと悪寒のような震えが、同時に、腹の下から熱くたぎる血潮のようなものがわいてくる。
結太は股間にむず痒さを感じて、折り曲げた足をモゾモゾさせた。それに宗輔が訝しげになる。さすがに結太もこの状況には羞恥を覚えた。
「何だ? どうした」
「い、いぇ」
視線をウロウロとさまよわせると、こちらを睨む宗輔と目があう。
すると、相手も結太の潤んだ瞳を見て表情を変えた。何というか、予想外のものを見てしまったというように目を見ひらく。
それから視線を結太の下肢に落とした。そこでは小さな紙オムツでも隠しきれないものがふっくらと盛りあがっている。
「……見ないで」
ください、と言おうとしたところに、宗輔の片手が動いた。むきだしの外腿をそっとたどるように大きな手のひらがおかれる。
「――あ」
思わずでてしまった声に、ひくりと足が痙攣した。宗輔の手が触れたところから、ヘンな感覚が這いあがってくる。それは結太の息子をまた成長させた。
「……触らないで。でちゃうかもです」
何とも情けない声がもれたが、相手の喉仏がグッと上下した。
「……だせよ」
それは聞いたこともない、低い凄味のある声だった。
怒っているのではない。むしろ興味がわいてきたというか、欲望を刺激されたというか、そんな奇妙に命令調の声音だった。
結太は宗輔の不可解な変化に身を震わせた。その頼りなげな動作に誘発されたかのように、宗輔の手が外腿から内腿へと滑りこむ。
「……あ、やだ」
拒否は意思に反してか弱いものだった。宗輔の手が、膨らんだ場所を包むように掴む。キュッと握られて、結太は小さな喘ぎをもらした。
「……あッ。ん、や、宗輔、さっ」
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