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白黒-shirokuro-2*

 家から近くてよく通っている居酒屋の個室へ入り、やっと二人きりの時間を過ごせる。 「かんぱーい!今日もお疲れ様っ、朱ちゃん♡」 「樹矢もお疲れ様」 「今日の俺、どうだった?イケてた??」  ワクワクする子供のようにキラキラの目で俺の顔を見つめる。 「今日も、良かったよ」 「えぇ!それだけー?もっと感想あるでしょー!」 「……ねぇよ」 「嘘だー!朱ちゃん、俺が良い顔した時ドキッとしてたでしょ。カッコイイって思ってたのお見通しなんだから!」  やっぱり敵わない。  天然なのになんでこんなに俺の事分かってるんだろう。俺自身、ポーカーフェイスなはずなのになんで見破られるんだろう。 「ね?正解でしょ?」  クシャって俺の好きな笑顔をする樹矢。  ……好き、だなぁ。 「あ!俺の事好きって今思った??ねぇ、ねぇ、朱ちゃん!」  ホント、敵わない。  俺は思わず苦笑いしてしまった。 「思ったよ。……樹矢のことが好きだから」 「………っ!朱ちゃん!!!」  樹矢の大きな身体が俺に覆い被さりぎゅっと抱きしめられた。  そんなのも束の間でちゅっとキスされて、俺も樹矢を抱きしめ返した。  ちゅ…ちゅ……ちゅっ…  樹矢に押し倒された状態でこいつが歯止めなんかかかるはずもなく、どんどんキスが深くなっていく。 「んっ…んんっ…みきっ……や…!ここ店っ…!」  深い口づけから解放されたと思うと樹矢は。 「みぃくんって呼んで」  いや、そこかよ…‼ 「だめ!ここお店だから!するなら家帰ろう、すぐそこだし、ね?………みぃくん。」  明らかに樹矢の表情に余裕が無くなったのが分かった。

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