9 / 227

散歩日和-sanpobiyori-1

 冬の朝は明るくなるのが早い。  普段、朝は苦手で布団にぬくぬくと籠もりたいタイプだけど冬の寒くて澄んだ空気の朝が好きだったりする。  しかも、撮影をするのにすごくその空気は向いている。  カメラマンとしての血が騒いで、たまたま朝早く起きた俺は隣ですやすやと寝ている恋人を起こした。 「みぃくん、起きて」  頭を撫でて耳元で囁いた。すると、  …ガバッ!!!  樹矢は勢い良くベッドから跳ね起きた。 「何!朱ちゃん、どうしたの!」  焦った様子の寝ぼけた顔で俺の事を探す。  バチッと目線が合った。 「んふふっ。樹矢、寝起きから面白いね」  思わず笑ってしまうと樹矢はとぼけた顔であれぇ?と言いながら頭を掻いた。 「ねぇ。今から俺にさ、付き合ってよ」 「ん?こんな朝早くからどこか行くの?朱ちゃんにしては珍しいね」  確かに、俺から外に誘うなんて滅多にしないもんな。ましてや樹矢は世に顔を出してるモデル。バレたら大変だから、な。 「朝日を使って写真が撮りたい。樹矢をモデルにしてな。……だめ??」 「だめじゃない!むしろ歓迎!嬉しい!」  いつもの笑顔を向けて俺に優しく抱きつく。 「樹矢、メガネは必須。服装はお前のセンスに任せる」 「了解。着替えてくるね!」

ともだちにシェアしよう!