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散歩日和-sanpobiyori-2
「朱ちゃーん!用意できたよー!」
樹矢が着替えて外に行く準備をしている間、俺はカメラのメンテナンスとレンズのクリーニングをしていた。
「おう」
荷物を持ちガチャっと自室の扉を開けると目の前に樹矢が立っていた。
膝丈まである紺のチェスターコート、白いタートルネックのニットにシンプルなネックレス、黒のパンツに茶色い革靴を合わせていた。
「朱ちゃん?行かないの?」
「……えっ?あ、あぁ、行こう」
やばい、見惚れてしまった。
俺達は手を繋いで朝日が昇ろうとしている薄暗い道を歩いて公園へ向かった。
丁度着いた頃に外は明るくなってきて、俺の理想通りのシチュエーションになった。これはいい作品が撮れそうだ。とレンズを覗く。
「樹矢、とりあえずそこらへん歩いて」
適当に指示を出してカシャカシャとシャッターを切る。
朝日に照らされ樹矢がキラキラと映る。
「ちょっと顔俯いて」
_____カシャ…カシャ…
「よし、次はあっちのベンチ行こう」
「はーい!」
場所の指定以外は何も指示せずとも、ポージングしていく樹矢を撮る。
_____メガネ姿カッコイイ…
たまにしか見せないその姿は俺の胸の鼓動を早くする。
それから、朝日が昇っていくまでの限られた僅かな時間の中、俺は夢中で恋人を撮影した。
「よし!終了。お疲れ様、樹矢」
「お疲れ様です!」
いいの撮れた?とワクワクして聞いてくる。
「一応こんな感じ」
データを適当に見せた。
「またレタッチしたらちゃんと見せるわ」
「朱ちゃんが撮りたいのが撮れたなら良かった!出来上がり楽しみにしてるねっ」
俺達は朝日に照らされながら、家へ帰った。
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