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自慢-jiman-2
「おはようございます!須藤さん、今日もよろしくお願いします。」
現場に着いて準備をしていると成田さんが挨拶に来た。
「おはようございます。あれ?樹矢くんは?」
何時もなら成田さんと一緒に挨拶しにぴょこぴょことやって来るのに、今日は見当たらない。
「彼、今は雑誌のインタビュー中なんです。最近スケジュールが詰まっていて、合間に入れ込んでいかないといけなくて…。」
「そう…ですか…。」
家ではそんな素振りは見せない。けど、忙しいのは知っている。
樹矢。大丈夫かな…。
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「お疲れ様でしたー!」
問題無くスムーズに今日の撮影が終わる。
この後は、俺と一緒に家へ帰る口実のため、樹矢からいつも通りに食事にきっと誘われる。
そう思ってた。
「お疲れ様でーす。」
樹矢は一言俺に挨拶をして、そのまま楽屋へ帰っていった。
「あれ…?」
おかしい…。そんな。そんな事、今まで無かったのに…。なんで…?
冷静に機材を片付けながらも、内心は焦りと戸惑いで何も考えられないでいた。
一緒に夜ご飯食べるんじゃないの?
今朝はオムライス作ってって言ってたじゃん。
あーぁ、なんか女々しいな。俺。
「とりあえず、帰るか…。」
荷物を背負い、とぼとぼと俺は一人帰路に着いた。
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