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悋気-rinki-3
「この間、撮っていただいた動画が完成したんです。一番に須藤さんに見せたいなと思っていて…。」
「それは気になりますね。」
エレベーターのボタンを押して、下へ向かって動き出す。
「あの!良ければ近々スケジュールが合う時にでも、撮影して頂けませんか?その時にお見せします!」
「お仕事依頼ですか?なら、是非。受けますよ。」
「嬉しいです…!都合の良い日程、連絡して下さい。待ってます!」
チンッと音がなり乗っていたエレベーターが止まる。
扉が開いて、先に俺が歩き出す。
すると、携帯が震えた。
ズボンのポケットから取り出して画面を見ると、瀬羅樹矢の文字。
「じゃ、俺はこれで。今日はありがとうございました。また、今度。」
震える携帯を持つ手を軽く上げて、早足でその場から去る。
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「はい?」
周りに人がいないことを確認してから通話ボタンを押して電話に出る。
『あっ!しゆちゃーん!』
通話越しに何時もの元気な彼を思い浮かべる。
「どうした?今から帰るけど。」
『打ち合わせ長かったんだねぇ。何処にいるの?』
辺りを見渡し、答える。
「今はー。あ、前に河川敷で撮影した所分かる?」
『うんうん!近くにサンドイッチ屋さんあったとこだよね!』
「その近くだよ。駅に向かってるけど、来るのか?」
『行くー!車で行くから駅のコンビニで待っててね、しゆちゃん。』
電話を切って目的の場所に向かって歩き出す。
近くに見える川は、夕陽でキラキラと光りながら流れている。
(そろそろプライベートで樹矢も撮りたいなぁ。)
なんて少し思いつつも彼は今、写真集効果でメディアにも忙しくなっている為、もう少し先なお話だった。
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