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シンパシー-sympathy-2

「はい。はい。責任持って撮影させてもらいます。ありがとうございます。失礼します。」 「成田さん良いって言ってたでしょー?」 携帯の通話ボタンを切ると、隣にいる樹矢が話し掛けて来る。 「あぁ。だけど同行出来ないから、くれぐれも大事にはならない様に気をつけてってさ。」 「そんな心配しなくていいのにー。」 ねー?と俺に寄り掛かって上目遣いで聞く。 「とりあえず、言ってた日にちでアポ取りもしたからよろしくね。」 「はぁーい。楽しみだなぁ、minaさん。」 「結局minaさん目当てかよ。」 「そりゃあ…しゆちゃんと俺にとってお邪魔な虫は排除しないと。ね。」 何処を見てるか分からない視線は鋭く、口角を上げて笑うその顔は黒くゾッとした。 男であれ女であれ容赦無く立ち向かうコイツは、敵には絶対回したくないと思った。 -- 撮影当日 「ほーら、もう行くよ。」 車のキーを手に持って鏡の前で入念にヘアセットしている樹矢に言う。 「んー…ん。」 イメージ通りに上手くいったのか、よし。と気合いを入れて目の前に映る鏡の自分に向かって笑う。 「そんなセットしなくても顔は写らないのに…。」 「後ろ姿は撮るでしょ?腐ってもモデルなんだからちゃんとしないと!」 「そう。もう先行くよ。」 玄関に向かって歩き、靴を履くと早々に家を出る。 空は朝日が昇っている途中で、まるで夕陽の様に真っ赤な大きい太陽が空にいた。風が吹くと、まだ少し涼しい。 エレベーターで地下まで下がり、俺と樹矢の車を目指して歩く。 「よいしょ。と。」 カメラの機材を車のトランクに積み込む。 荷物忘れが無いか最終チェックをして、運転席に座る。 キーを指してエンジンを入れようとすると、コンコンと助手席側の窓から音が鳴る。

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