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密か-hisoka-1

知りたくない事を知ってしまった背徳感は、良い時と悪い時がある。今回は明らかに後者。 最悪だ…。 ―― 「んー…。なん、じ…。」 何となく寝すぎた気がする。それはまだ陽が昇っていなくて、室内も暗いからだ。 枕元に置いていた携帯を手探りで探し出して画面をつければ、明るくボウっと光った。細める目で時間を見れば朝の6時を回ったばかり。 (6時のわりには外が暗いな…。雨降るのか?) スッキリしない寝起きで特に回転もしていない脳内で考える。隣には、スヤスヤと眠る恋人がいてそれだけで微笑んでしまう。 (起きたら、またキスしよう。) 腕の中に恋人を抱いて安心感と共に瞼を閉じれば、またすぐに眠りにつく。 ピピピッ…。ピピピッ…。 眠りについたのがついさっきかの如く、携帯のアラームが鳴り響く。それは7時を知らせる合図で、もうあれから1時間経ってしまったのか…。と至福の二度寝時間の過ぎていく速さに驚いて絶望する。 「んんぅー…。」 起きたくないけれど起きないと仕事に遅れる…と、毎朝の葛藤に身体をよじる。しかも、今日は隣にいるしゆちゃんとの撮影じゃない為モチベーションが鼻から低かった。 「んんぅ。みぃ、くん…。」 ほとんど毎朝俺よりも早く起きるしゆちゃんは、珍しく今日は寝坊助さんでさっきと変わらず胸の中でまだ、眠っている。 「可愛い…。」 ギュッと抱きしめてふわふわの髪の毛にキスを落とす。 (溶けて…ひとつになれたら良いのに。) 願い続ける願いは、今日もまた心に留める。 ピロロロ…!ピロロロ…! 幸せの余韻に浸っていると、携帯から今度は着信音が鳴り響いた。思わず身体がビクッとなり、携帯を手に取って画面を見る。 「びっくりしたぁ…。…ん?」 着信相手の名前は、もう長年見ていなかった駆け出しの読者モデル時代の知り合いだった。

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