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体育祭りです。
7月に『体育祭り』が行われる。祭り、だけど、なんら普通の体育祭と変わらない。
「じゃあ、こんな感じで!」
クラス委員の田中は、黒板をバンッ!と叩くと注目を自分に集め、にっこり笑った。
クラス中が、この暑い時期に、とか、面倒臭い、とかの空気になるが田中は気にすることなく「以上!」と笑顔でその場を締めた。
「体育祭りって、大好き!」
大きな瞳を輝かせて、凛が振り返った。ちなみに、凛は俺の前の席だ。山根は真ん中の一番前という特等席にもかかわらず爆睡中。だから、リレーの選手に名前を書かれるのだ。まぁ、運動神経がいいのも理由だけど。
「凛、運動得意だもんね」
「うふふ」
リレーは男女混合だ。凛の名前もそこに書かれていた。俺の名前はないけども。
高校生なのに玉入れもあるし、借り物競争やムカデ競争、応援合戦も盛り上がる。障害物リレーやら、職員のリレーなんかもあって毎年暑い時期にって文句も出るけど、なんだかんだ盛り上がるイベントだ。
運動はあまり得意ではないので、やるよりかは応援したい派だ。
黒板の玉入れの下には俺の名前がある。他はほぼ、女子だけど。
体育祭りが終わると、期末テストがあって、それが終わると夏休みだ。
あっという間に日々は過ぎる。
あの日、圭人と女の子の別れ話を見てから1週間ほど経った。
圭人は相変わらず毎日連絡をくれて、俺はそれにすら返信しなくなった。
別れない。
好き。
毎日くるLimeには、その言葉が並んでいる。
信じるには、遅すぎる。
圭人のしたい事が分からなくて。
眠れない日々。
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