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言葉のチカラ。
出来る範囲で体を必死に動かす。
上半身が捕まっているなら、足だ!
出来るでけの力を込めて、圭人の足を蹴った。密着しているからそこまで力は入らなかったけど、上手い具合に脛に当たる。
「いてっ!!」
すぐに拘束は外れ、俺は急いで圭人から距離をとった。
「...チッ!」
圭人の舌打ちに体がビクッと反応した。
「...なんで、こんな...」
声はかすれて小さくて。
圭人は俯いたままで。
俺は震える拳を握りしめて。
「...誰のこと、考えてんの?」
顔を上げた圭人は、笑っていた。
「...え?」
「誰のこと考えて俺とのキス拒むわけ?...初めてじゃねーし。何回もしたじゃん」
「...っ!」
何回も、した。付き合っていたし、圭人とのキスは幸せだった。
...初めてのキスも圭人だ。
「...まぁ、それだけだけどな」
ため息とともに、圭人の言葉が漏れてくる。
面倒臭そうに頭をかきながら俺を見る圭人の瞳はとても冷たい。
「いつまでもヤラせねーとか、顔は男にしては可愛いし、たまには良いかと思ったらガードくそ固いじゃん」
頭を鈍器で殴られたような痛みが走る。
「今時、中学生でもヤッてるっつの」
はは、とあざ笑う。
「まぁ、溜めっぱなしも体に悪いしね。相手には困らないんだわ、俺」
ただ、圭人を見ていた。
圭人が何を言っているのか、頭が考えるのを拒否する。...けど。心は。
涙がポロポロ溢れてくる。
「...もぅ、ほんとダメだな」
圭人の手が伸びてきて、それに俺の体がビクッと跳ねたのを見て、手が戸惑うように離れて...また伸びて俺の頬に触れる。
暖かいと思った手は冷たく。
大きいと思っていた手は他人で。
「誰と付き合っても...優羽はこのままだ。誰にも穢されない」
恋人だと思っていた人物は愛を囁いた唇で俺に呪いの言葉をかける。
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